BMW i4 詳細データテスト 傑作EV 4シリーズ譲りのハンドリング おすすめは下位グレード

公開 : 2022.01.29 20:25  更新 : 2022.02.01 22:34

BMWの基幹EVになりそうな4ドアモデル、i4の最上位グレードは、ポルシェ・タイカンのエントリーグレードより安くて速い注目の一台。バッテリーの重さに起因する欠点もありますが、それも時間が解決してくれるでしょう。

はじめに

BMWを、i4の投入を急ぎすぎたと責めるひとはいないだろう。2010年には、すでにミニの電動化バージョンの一般向け販売を実験的に行なっており、日常使いのデータを可能な限り集めている。その成果を活かしたのがプロジェクトiで、これはプレミアムクラスのライバルに対抗するサステイナブルなモビリティの野心的な試みだ。

2014年にスタートすると、このプロジェクトは一定の成功を収めた。魅力益なコンセプトモデルの数々に続き、完全電動ハッチバックのi3と、プラグインハイブリッドクーペのi8を発売。これら洗練されたモデルは、動かし難い未来的な高級車像を提示したが、既存のBMWユーザーをも、ミュンヘンの期待通りに取り込んだ。

テスト車:BMW i4 M50
テスト車:BMW i4 M50    LUC LACEY

それから7年ほどでX3の電動版を発売し、SUVとEVとのベン図の中央に、BMWは地歩を築いた。しかし、その成功があっても、われわれは別の電動BMWを待ち望み続けた。それこそ、美的にも運動性においてもエバーグリーンといえるクルマ、人気抜群の傑作、3シリーズの電動版だ。

ついにそれが叶った。それこそがi4だ。これこそ、誰もが適切な電動BMWだと認めるであろうはじめてのクルマで、それゆえブランドにとっても非常に大きな意味を持つものとなりうるモデルである。これまで時間を重ねてきた甲斐があったと、たしかに思えるものが登場したわけだ。

このセダンは、不足する半導体の割り当てをほかのモデルより優先してまでして発売したほど重要視されている。先行するライバルに対してみると、テスラであればモデルSより10年、モデル3より5年の遅れ、ポルシェタイカンにも2年先行されているのだ。

言い換えるなら、実用的な航続距離と魅力的なハンドリング、洗練性といったものを持ち合わせた、高級スポーツセダンオーナーを満足させるクルマを生み出せる可能性は、他社がすでに実証済みだといえる。

しかも、BMWは後発ながら、まだまだこのジャンルは歴史が浅い。パフォーマンスや実用性、クオリティや運動性、そしてプライスがみごとにバランスしたクルマのマーケットには、まだまだ食い込む余地が十分にある。

実際、もしも現行3シリーズの魅力をそのままに電動化したら、そういうクルマになるはずだが、おそらくこのi4はそれに当たると言っていいものになっているはずだ。もちろん、i4が3シリーズと同じプラットフォームを用いて、パワートレインを変更したものだとはいえ、それが期待通りの仕上がりになるとは限らない。BMWのお手並み拝見といこうではないか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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