冬本番 新しいブリザック「VRX3」 どんな所がスゴイのか?
公開 : 2022.01.26 21:15
FWDのポロとクワトロのアウディA4
タイヤのトレッド面が柔らかいのは、路面の突起凹凸の乗り越えで衝撃がマイルドなことからもわかる。
にも関わらず、前輪駆動のポロでも高い速度での直進は、ニュートラルがしっかりと手応えとして感じられる。そこからステア操作した際も、応答性に遅れ・捻れ感・たわみがない。
そこだけを見るとコンフォート系サマータイヤのようである。
車重がより重く、クワトロ4WDであるアウディA4に乗り変えた。
こちらも確かな直進性を示す。早めのステア操作をしても、ひと呼吸おいて追従。舵角に素直に応答するといった特性に落ちつく。
乗り味が滑らかなことは、アウディA4の重厚感と重なり、いい味を出していた。
四駆で検証 イメージは冬の交差点
公道を後にして向かった氷雪道のテストコースは、運ばれてきた雪と降雪機の働きによって、それなりの雪景色。
直線路は、アスファルト、氷路、雪路が入り交じる複雑なコンディションだ。
それが良かった。というのは、降雪地域の交差点で、晴天の日に見られる路面状況に合致するからだ。
「K」から「E」まで、つまり「軽カー」から「メルセデス・ベンツEクラス」まですべて4WDで揃えた試乗車は、どれもゼロスタートからアクセルベタ踏みでも4輪が路面を確かに蹴って加速する。
凹凸や深い轍、ブラックアイスも転在する路面はボディを大きく揺さぶる。
轍を越えてクルマをコントロール
「軽カー」はさすがに路面からの外乱に左右されるが、そこは車体の軽さとタイヤの穏やかで安定した操縦特性。急な姿勢変化は抑えられている。
軽カーに限らないことだが、交差点にできた深い轍でのブレーキ操作は不安定な動きにつながる。それが急制動でABSを作動させても、路面を噛むように停止する安定感があった。
その轍のなかから壁を乗り越えての車線変更・右左折、また、その壁に乗る時の接地性の変化がいい意味で鈍い。
壁をズルッと踏み外したときの挙動は、ドライバーも乗員もドギマギするものだが、そうした急な変化を抑えている点も評価したい。
これらの場面でVRX3の穏やかで粘る、懐の広いグリップ感は安定感とともに安心を与えてくれるのだ。
その特性は、トレッドパターンのアップデートと、ミクロの水膜を吹き上げ徐水する発砲ゴムが進化したことによる。
発砲ゴムの気泡形状が、従来までの丸から楕円になり、気泡の体積がアップしたという。