新型ゴードン・マレーT33 創業者に聞く「実用重視」のワケ V12スーパーカー第2弾初公開

公開 : 2022.01.28 19:45

低速トルクを強化したコスワースV12

新型T33は、T50とはプロポーションが異なり、3人乗りではなく2人乗りとなっているが、T50の開発時の理念のほとんどを踏襲している。

巧みにパッケージングされたキャビンは、カーボン製のセーフティセルで乗員を保護する。カーボンパネルの多くはハニカムコアを持ち、荷重を支えるために軽合金製フレームが使用されている。

ゴードン・マレーT33
ゴードン・マレーT33    AUTOCAR

ラゲッジスペースはフロントに1つ、各リアホイールの前にパニアのようなものが1つずつ、計3か所ある。ラゲッジの総容量は280Lで、「小型ハッチバックとほぼ同じ」とマレーは言う。

足回りは独自のもので、「T50から重要な教訓を得た」というパッシブエアロ構造(特許取得)により、ボディ下に残されたスペースがT50と全く異なるため、新たな4輪独立コイルオーバー式サスペンションを採用している。

フロントのダブルウィッシュボーンは合金製のサブフレームに、リアはギアボックスに直接取り付けられている。エンジンは「半構造的」なシャシーの一部として、十分な快適性を確保しつつ、サスペンションの剛性を高めるようになっている。

ステアリングは油圧式で、ホイールとタイヤのサイズはT50と同じ(フロント19インチ、リア20インチ)。

V12エンジンは最高出力615ps/1万500rpm、最大トルク46kg-m/9000rpmを発揮する。低速トルクに優れ、2500rpmでピークトルクの75%を発揮するという。

エンジンはGMAのこだわりを反映し、ヘッドやカムシャフト、可変バルブタイミングシステムも変更された。トランスミッションは6速MTが標準だが、パドルシフトもオプションで用意されている。

マレーは、T33がGMA最後の非ハイブリッド車になると述べ、すでに電動モデルの開発が進んでいることをほのめかした。

米国販売に重点 左/右ハンドル車も製造

T33は、英サリー州ウィンドルシャムにある広々としたGMA新本社で製造される最初のモデルとなる。一方のT50とT50sは、ギルフォードから約30km南にあるダンズフォールド飛行場の端にある施設で製造されている。

GMAは、「軽量化」「独自性」「手造りの品質」「機能性だけでなく見た目の質も追求した部品」「美しい外観」「顧客との密接なコンタクト」「完璧なドライブ」という7つの指針を掲げて、ラインナップの成長に取り組んでいる。

ゴードン・マレーT33
ゴードン・マレーT33    AUTOCAR

マレーは、T33の購入者の半数が米国に集まると予想しており、左ハンドルと右ハンドルの両仕様を販売する予定である。GMAは、他のメーカーが米国での認証のため採用している「ショー・オア・ディスプレイ」というルールではなく、連邦政府の型式認証を完全に取得する予定だ。

「当社のような企業にとって、連邦政府の認可に2800万ポンド(約43億円)を費やすのは大きな決断です。しかし、このクルマの適合性には非常に自信がありますし、認可を得られれば、実質的に欧州仕様とそれ以外の国向けの2台のクルマが1台になります。きっと価値あるものになりますよ」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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