新型ゴードン・マレーT33 創業者に聞く「実用重視」のワケ V12スーパーカー第2弾初公開
公開 : 2022.01.28 19:45
独占インタビュー:なぜ性能を追求しないのか
GMAの創設者兼CEO、ゴードン・マレーにAUTOCARが独占インタビューを行った。
――T33はT50とサイズやフォルムが近いですが、特別な意図があるのですか?
「T33は、フラッグシップであるT50よりも実用的なクルマとして設計されています。もし、スーパーカーを1台しか持てないのであれば、T33はその1台になるようにデザインされているのです」
「潜在顧客を対象とした調査では、約85%が日常の運転にクルマを使うことがわかっています。そのため、荷物の積載量や航続距離の長さなど、実用的な要素を盛り込んだのです」
――T33のインテリアはまだ公開されていません。どのような感じなのでしょうか?
「T33は、ゴードン・マレー・デザインの原則を忠実に守っています。精緻でありながら非常にシンプルで、ドライバーにフォーカスしたデザインです」
「タッチスクリーンはなく、重要な機能はすべて最高品質のアルミ削り出しのロータリーコントロールで。バックライトは混乱を招くので、すべてのスイッチが投光器で照らされています」
―――T33は、あなたの好きな1960年代のクルマから影響を受けているとおっしゃっていましたね。あまりに忠実にコピーしすぎるリスクはないのでしょうか?
「そんなことはないと思います。T33とT50は、他とはまったく異なる生粋のGMAファミリールックを備えています」
「しかし、1960年代、1970年代の名車の多くは、今のようにルールに縛られないエンジニアたちによってスタイリングされたものです。彼らは、最も純粋で最も効率的なデザインをすることができたのです」
「わたし達もクレバーであれば、それができるのです」
――現代のスーパーカーのデザインは、複雑になりすぎていると思いますか?
「はい。最近のクルマの多くは、デザイナーが頑張りすぎているのか、雑然としています。ルーバーやウィング、フィン、ダクトなど、必要ないものでクルマを覆い尽くすことに何の意味があるのでしょうか?わたし達はその逆を行き、顧客も気に入ってくれます」
――T33の性能は素晴らしいに違いないと思いますが、その数値についてほとんど触れていませんね。なぜでしょう?
「わたし達のクルマは、トレンドやトップレベルの性能を追い求める必要はないのです。0-97km/h加速が2.9秒であろうと3.1秒であろうと、最高速度が340km/hであろうと345km/hであろうと、どうでもいいんです」
「購入者も同じです。わたし達は売上を追い求めているわけではなく、これからもしません。シンプルな美しさこそが、わたし達のクルマの鍵なのです」
本社拡張計画 テストコースも設置
T33は、サリー州ウィンドルシャムにあるGMAの新しいグローバル本社で製造される。かつてKamcorpという会社があった約22万平米の敷地を利用している。
GMAは、5000万ポンド(約77億円)をかけて建物を再生・拡張し、自動車製造施設、ヘリテージ・ガレージ、エンジニアリングとデザインの複合オフィス、ハイテク自動車ビジネスでの人材を育成するキャンパスを設置する計画だ。また、顧客もこの場所を訪れ、クルマの見学や購入、納車を行う。
さらに、新しく製造されたクルマのシェイクダウンに必要な小さなテストコース(約700m)を設ける計画もある。
3つの建物からなる複合施設の改装が完了すれば、2024年までにウィンドルシャムで約100名の新規雇用を創出すると期待されている。
しかし、ギルフォード近郊のダンスフォールドにある既存の施設は、T50とT50sの生産拠点として維持する予定だ。