フィアット500 詳細データテスト 十分以上の動力性能とハンドリング 航続距離と快適性はほどほど
公開 : 2022.02.05 20:25 更新 : 2022.03.15 04:02
走り ★★★★★★★★★☆
ガソリンエンジンのコンパクトカーなら、0−100km/h加速が11秒を優に超えるのもやむなし、と思われてきた。ところがEVであれば、電気モーターの出力特性によって、はるかに威勢のいいものになる。今回のフィアット500は、パフォーマンスモデルというわけではないにもかかわらず、フォルクスワーゲンUp GTIより0.3秒早く97km/hに到達してみせた。
スモールカーとしては、295kgのバッテリーパックのせいでかなり重いものになっていて、1365kgの公称重量は、パフォーマンスに多少の悪影響を及ぼしている。それでも、0−97km/hは8.1秒をマークした。また、2016年にテストした1.2Lガソリンの500Cとの比較ならば、英国の高速道路の制限速度には8秒も早く到達する。リミッターが作動する148km/hにも、易々と届くのだ。
走行モードは、ノーマル/レンジ/シェルパの3つが用意される。ノーマルでは回生ブレーキの効きがわずかで、ガソリン車のエンジンブレーキと同程度。レンジでは初期加速が鈍くなり、スロットルレスポンスも落ちるが、回生ブレーキがかなり強くなる。ただし、ワンペダル運転ができるまでには至らない。シェルパはレンジと似たようなものだが、空調関係が停止して、最高速度は80km/hに制限される。
ノーマルで走ると、ブレーキペダルのフィールはプログレッシブで心地いい。緊急ブレーキでの制動力は、同じくコンパクトEVのヴォグゾール・コルサ−eあたりと同程度だが、異常なピッチングや、わざわざお伝えするほどの不安定さは発生しなかった。