ACコブラの末裔 Mk IVとライトウエイト ACスーパーブロワーにAC CRS 後編

公開 : 2022.02.20 07:07

共通する運転を楽しむためのレシピ

走行性能という点でも、Mk IVとほぼ同等。現代の水準でいっても有り余るほどたくましいが、軽量でパワフルなスーパーブロワーには、流石に及ばない。

コーナリング時に早めにパワーを掛けると、リアタイヤは耐えきれずスライドし始める。ドライ路面でも。進路変更と同時に、大きな荷重移動が生じる。トラブルを避けるためにも、むやみにアクセルペダルは踏み込まない方が良さそうだ。

ACカー・グループ AC CRS(2000〜2002年/英国仕様)
ACカー・グループ AC CRS(2000〜2002年/英国仕様)

適度なスピードで走らせていれば、とても快適で個性豊か。高速が得意なロードスターとして、魅力には事欠かない。現在、AC CRSの取引価格は7万ポンド(約1085万円)前後。4台の中では、一番手に届きやすい。

オートクラフト社やACカー・グループ社によるモデルが、ACコブラ唯一の末裔ではない。ルビンスキーはACのライセンスを利用させており、南アフリカのスーパーパフォーマンス社やドイツのACオートモーティブなど、複数メーカーでレプリカが作られている。

2021年にはACカー・グループ社からも、純EVのACコブラが発表されている。エンジンをGM社製のLSA V型8気筒に変えた、スーパーブロワーも販売が続けられている。

少々複雑な英雄にまつわる歴史だが、今回の4台のコブラは、オリジナルが備えるシンプルな魅力を最も強く今に伝えている。少々時代遅れの英国製スポーツカーのシャシーと、大きな北米製V8エンジンという組み合わせを。

4台の世代は異なる。しかし、運転を楽しむためのレシピは、常に共通しているのだ。

協力:ギルバート-スミス家、スティーブ・ミルズ氏、レッドライン・エンジニアリングUK社

ACコブラの末裔 4台のスペック

オートクラフトMk IV ACコブラ(1982〜1996年/欧州仕様)

英国価格:4万5000ポンド(新車時)/12万5000ポンド(約1937万円)以下(現在)
生産台数:約450台
全長:4150mm
全幅:1727mm
全高:1245mm
最高速度:217km/h
0-97km/h加速:5.3秒
燃費:5.7-8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1188kg
パワートレイン:V型8気筒4942cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:228ps/4200rpm
最大トルク:41.4kg-m/3200rpm
ギアボックス:5速マニュアル

手前から、ブルーのオートクラフト ACコブラ・ライトウエイトと、シルバーのACカー・グループ ACスーパーブロワー、レッドのオートクラフトMk IV ACコブラ、ブルーのACカー・グループ AC CRS
手前から、ブルーのオートクラフト ACコブラ・ライトウエイトと、シルバーのACカー・グループ ACスーパーブロワー、レッドのオートクラフトMk IV ACコブラ、ブルーのACカー・グループ AC CRS

オートクラフト ACコブラ・ライトウエイト(1990〜1996年/英国仕様)

英国価格:11万ポンド(新車時)/21万ポンド(約3255万円)以下(現在)
生産台数:73台
全長:4150mm
全幅:1727mm
全高:1245mm
最高速度:225km/h
0-97km/h加速:4.3秒
燃費:5.7-8.1km/L
CO2排出量:−
車両重量:1070kg
パワートレイン:V型8気筒4942cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:375ps/6000rpm
最大トルク:53.8kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ACカー・グループ ACスーパーブロワー(1997〜2001年/英国仕様)

英国価格:6万9795ポンド(新車時)/12万5000ポンド(約1937万円)以下(現在)
生産台数:28台
全長:4150mm
全幅:1727mm
全高:1245mm
最高速度:249km/h
0-97km/h加速:4.2秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1160kg
パワートレイン:V型8気筒4942ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:324ps/5700rpm
最大トルク:51.3kg-m/3750rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ACカー・グループ AC CRS(2000〜2002年/英国仕様)

英国価格:3万8950ポンド(新車時)/7万5000ポンド(約1162万円)以下(現在)
生産台数:37台
全長:4150mm
全幅:1727mm
全高:1245mm
最高速度:233km/h
0-97km/h加速:5.0秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1188kg
パワートレイン:V型8気筒4942cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:228ps/4200rpm
最大トルク:41.4kg-m/3200rpm
ギアボックス:5速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    ベン・バリー

    Ben Barry

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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