マツダ・ロードスター 最軽量「990S」はなぜ生まれた? 開発主査に訊く

公開 : 2022.02.04 05:45  更新 : 2022.02.04 11:24

マツダ・ロードスターが更なる進化を遂げました。最軽量、上質な「990S」の生まれた背景を取材しました。

ND熟成期の更なる進化

マツダは2021年12月16日、「ロードスター」を商品改良した。

特別仕様車として、最軽量グレードの「990S」、クールで都会的な「ネイビートップ」を設定。また、通常グレードとして「RF VSテラコッタセレクション」を追加した。

マツダ・ロードスター990S
マツダ・ロードスター990S    桃田健史

これらの中で、ロードスターファンのみならず、スポーツカーに興味がある人から大きな注目を集めているのが「990S」だ。

ロードスターラインアップの中で、価格としては最廉価なSグレードがベースとなる。

軽量化とは具体的に、ホイールにレイズ製の鍛造16インチアルミホイール「レイズZF40 RS」を採用。1本あたり約800gで、四輪合計で約3.2kgものバネ下重量の低減となっている。

また、フロントブレーキには、ブレンボ製の大型ベンチレーテッドディスクと、同じくブレンボ製の対向4ピストンキャリパーを装着。リアブレーキも大径化した。

サスペンションについても変更しており、コイルスプリングのバネレートを高め、ショックアブソーバーの伸び側の減衰力を緩めた。

エンジン制御についても、アクセルレスポンスを高めたり、電動パワーステアリングのセッティングを調整した。

外観については、幌をダークブルーとしたほか、車内ではエアコンルーバーベゼルを、ブルーとピアノブラックであしらっている。

「人馬一体」さらに加速

「990S」についてはすでに、新型コロナ感染症への対策を踏まえて、オンラインでマツダの開発関係者らと技術詳細について意見交換していた。

その中で、運動学に基づいた車体姿勢の制御技術である、KPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)を含めて、研究開発に関するさまざまな図表やデータを公表して頂いている。

マツダ・ロードスター990S
マツダ・ロードスター990S    マツダ

こうして、頭の中では「990S」の改良点をしっかり理解できていたつもりなのだが、実際に試乗してみると、その進化の度合いが大きいことに心底驚いた。

結論からいえば、「至極上質になった」のだ。

人とクルマとの一体感、マツダでいうところの人馬一体が、これほどまでに高い次元に引き上げられたことに、本当に驚く。この感覚、実際に乗ってみないと分からない。

一般的に、スポーツカーの軽量化というと、モータースポーツのイメージが先行する場合が多く、簡素化されてクルマ全体の動きは良くなり軽快にはなるが、日常でのドライブとマッチングしずらいといったモデルに出会うことが多い。

そうした常識を「990S」は完全に覆したといえる。

「990S」はどのようにして生まれたのか?

ND(第4世代ロードスター)の開発総指揮を執る、マツダ商品企画本部主査の齋藤茂樹氏に試乗会場からマツダ広島本社をオンラインでつないで、詳しく話を聞いた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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