レクサスNX 350h E-Fourへ英国試乗 セグメント牽引も可能な洗練性

公開 : 2022.02.14 08:25

過去のレクサスにはなかった水準の洗練性

走り出してみると、洗練され快適で、安楽な走りに感心する。過去のレクサスにはなかった水準にあるといって良い。Fスポーツでも。

2.5Lガソリンエンジンによる最新のハイブリッド・システムは、初代NXより25%もパワーアップしている。その甲斐あって、アクセルレスポンスはシャープ。一般的な環境では、苦労なしに流れをリードする加速が得られる。

レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)
レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)

ノーマル・モードで普通に走れば、燃費は簡単に17.5km/Lを超えてくる。車重1.8t近いにも関わらず。

急な上り坂や、追い越し車線を一気に抜けたい場面では、従来のトヨタ製ハイブリッドらしい、少々ダイレクト感に欠ける反応と息苦しそうなノイズを伴う。だが、それもほんの数秒程度で収まる。

この機械的な遠隔感は、秘めた性能をすべて発揮させようという気を削いでしまう。余力はかなりあるのだが。

ステアリングホイールにはシフトパドルが備わるが、マニュアルモードで弾いても、操作したという感覚が乏しい。スポーティなドライブモードへ切り替えても、エンジンの回転数が高まる反面、目立った動的な変化はなく、燃費が落ちる感覚の方が強い。

そういっても、2代目NXは明らかに乗り心地や操縦性も向上している。Fスポーツには、AVSと呼ばれるアダプティブダンパーが組まれ、秀でた横方向のグリップ力を得ていた。このクラスのSUVとしては姿勢制御もタイトで、操作に対する反応も正確だ。

ステアリングホイールへ伝わる感触も充分。カーブや滑りやすい路面での操舵を、しっかり助けてくれる。

セグメントのリードも不可能ではない

乗り心地は、路面との接地感がやや乏しいものの、管理の悪い舗装でも巧みに均し概ね良好。不規則な入力の連続など、まれに落ち着きを失うような場面も見受けられたが。Fスポーツではない標準のサスペンションなら、かなり快適なSUVになりそうだ。

レクサスは、NXでFスポーツを指定するユーザーの多くは、スポーティな走りではなく、ルックスの違いを理由にするだろうと考えている。それは、レクサスを選ぶユーザー層全体にも当てはまるだろう。

レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)
レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)

さらにいえば、中型SUVを検討する多くの人が、デザインや長距離の快適性、燃費効率、静かで安楽な運転というNXが持つ強みに惹かれると思う。ドライビング体験で得られる充足感が、多少及ばなくても。

運転のしやすさや、現実環境における洗練性、車載技術にインテリアの質感まで、2代目NXは先代から大幅に完成度を高めている。スタイリングも、レクサスらしい独自性を明確に表現できている。モデルレンジ全体にも、成功例として影響を与えそうだ。

プレミアムブランドとして、セグメントをリードすることを狙いたいレクサス。望み通りの成果を得られる可能性もありそうだ。

レクサスNX 350h E-Four(英国仕様)のスペック

英国価格:5万5720ポンド(約863万円)
全長:4660mm
全幅:1865mm
全高:1640mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:7.7秒
燃費:15.6-17.0km/L
CO2排出量:133-146g/km
車両重量:1790kg
パワートレイン:直列4気筒2487cc自然吸気+ツインAC同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:244ps/6000rpm(システム総合)
最大トルク:−
ギアボックス:CVT

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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