作らずにはいられない! 英国随一の模型メーカー、AIRFIX本社に潜入 カーモデル開発現場訪問

公開 : 2022.02.06 06:05

AIRFIXのライバルたち

英国人の間で最も有名な模型メーカーはAIRFIXだが、市場にはたくさんの同業者が存在する。ここでは、次の模型製作を検討する際に考慮すべきメーカーを紹介しよう。

――REVEL(レベル)

ドイツの模型メーカーで、1964年以前のクラシックカーから、レーシングカー、マッスルカー、ストリートロッドなど、1974年以降の現代的な車種を数多く展開。航空機やミリタリーモデルも数多い。

――POCHER(ポケール)

外出が規制される中で模型作りに目覚めた人も多いだろう。
外出が規制される中で模型作りに目覚めた人も多いだろう。

2020年からAIRFIXの親会社HORNBY HOBBIESが所有するイタリアの会社。大型で高品質の自動車とバイクを専門としており、価格は約700ポンド(約11万円)からと高級。

――ALUMINUM MODEL TOYS(AMT)

伝説的な米国の模型メーカー。クラシックなアメ車やレーシングカーを専門に扱っている。現在はRound 2の傘下にある。

――MPC

同じくRound 2傘下の米国の有名ブランド。ドラッグスターやホットロッドなどのエクストリームカーを得意とする。

――タミヤ

日本の老舗模型メーカー。グランプリカーやスポーツカーなど、さまざまな縮尺で、美しいディテールを持つモデルを揃えている。自動車に限らず幅広いラインナップを展開し、ラジコンカーでもトップクラス。

――フジミ

艦船や航空機などで有名な日本の模型メーカー。自動車では日本車を中心とした精巧なモデルを製造している。

――アオシマ

青島文化教材という社名からもわかるように、学校教材でも実績のある模型メーカー。自動車では豪華なボディキットを得意とする。

模型作りのマエストロからのアドバイス

イアン・ウェルシュさん(68歳)は、これまで1000台近いカーモデルを作ってきた。スコットランドの首都エディンバラに住む彼は、1980年代初頭に模型雑誌を読んでいて、そこに載っていた米国の自動車模型の種類の多さに驚いたのが、収集を始めるきっかけになったそうだ。

「スコットランドの静かな漁村に住んでいたわたしは、それらを素晴らしいと思ったのです。それが励みになって、自動車などの模型を作り始めました」とウェルシュさん。

イアン・ウェルシュさん
イアン・ウェルシュさん

ある年、彼はAIRFIXのカタログに載っているすべてのモデルを作った。今は、1950年代と1960年代のアメ車を専門にしている。

「わたしのお気に入りは1964年型のキャデラック・クーペ・ドゥビルです。今までで一番長くかかったのは1958年型のプリムス・ベルヴェデアで、毎夜2時間ずつ、3週間かけて作りました」

「プロフェッショナルな仕上がりにするために欠かせないのがエアブラシです。ディテールアップのために、シリンダーヘッドに穴を開け、プラグのリード線を挿入し、編組ホースとワイヤー入りのディストリビューターを取り付けています。シートベルトはマスキングテープで作ります」

ウェルシュさんは、自宅のあちこちにケースに入れた自動車を展示している。ベッドの上に4台も置いているのだから、奥さんのリタさんはよほど理解があるのだろう。

「ジオラマにするのも好きなんですよ」と彼は言う。「パースで開催された全国模型選手権では、スクラップヤードのジオラマで準優勝しました」

もとは刑務官として、刑務所で勤務していたウェルシュさん。受刑者に趣味を持つように勧め、模型店から寄贈されたキットを提案したそうだ。年に4回、知事が審査するコンテストも開催された。「みんなに好評で、多くの人の悩みを解決してくれたと思っています」とのこと。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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