プラットフォーム判明 謎多きマツダの新型SUV「CX-50」 CX-5との関係は?

公開 : 2022.02.08 05:45

トヨタ車との共通性は?

当初、CX-50は「カローラ・クロスの兄弟車となり、トヨタのプラットフォームを使うのではないか?」といううわさもあった。

アラバマの生産工場はトヨタとの合弁ビジネスでトヨタは「カローラ・クロス」の北米仕様を生産すること、マツダが「スモール商品群」と分類していること、などがその根拠だ。

トヨタ・カローラ・クロス(写真は日本仕様)
トヨタ・カローラ・クロス(写真は日本仕様)

しかし、そのうわさは「不正確だった」として終わりそうだ。

外観を見る限りCX-50とカローラ・クロスはホイールベースやトレッドといった基本要素がまったく異なり、わざわざ同じラインで流すためにトヨタの「GA-C」プラットフォームを活用したモデルをマツダが開発するのはメリットが多いとは思えないからだ。

「別メーカーで基本構造の異なるプラットフォームを同じラインで流せるのか」という疑問を持つかもしれないが、フレキシブルに設計してある生産ラインならまったく問題ない。

日産とアライアンスを組むずっと前から、委託生産として日産のピックアップトラック「ナバラ」を作っていた三菱自動車のタイの工場など、今どきの生産ラインはそのくらいの自由度を持って作られることもあるのだ。

では、CX-50はマツダのどのプラットフォームで作られるのか?

「スモール商品群」に分類されるということは、「ラージ商品群」となる後輪駆動プラットフォームでないことだけは明らかだ。

「CX-5」ではなく「CX-30」?

引っかかるのは、CX-30やマツダ3と同じスモール商品群用のプラットフォームが果たして(CX-5より大きく見え、車名からもそれを予想できる)CX-50にも対応するかということ。

何を隠そう、筆者は北米の主力車種であるCX-5をベースとするのではと予測していた。

マツダCX-30
マツダCX-30

大きな車体サイズも「ラージ用」のFRプラットフォームでなければ、コンパクトカー用のスモールプラットフォームではなくCX-5を使えば話が早そうだからだ。

根拠はもう1つあった。昨年末、CX-5に大きな改良を施し、その際にグレードの1つである「フィールドジャーニー」と呼ぶアクティブなグレード向けとして、オフロード用の走行制御を追加したことだ。

開発エンジニアによるとそれは「CX-50向けに開発したものをCX-5に横展開した」というのだ。

プラットフォームや基本メカニズムが同じであれば、新技術の横展開はしやすい。

現時点での情報から推測すると、CX-50はCX-5とプラットフォームも共通で深い関係があると考えるのが自然ではないだろうか。

……というのが筆者の見立てだったのだが、原稿を書くにあたってマツダの広報部へ問い合わせてみたところ、それは誤りだと判明した。

「CX-50はスモールのプラットフォームです。だから構造的にはCX-30と近いですね」というのだ。

なんと、マツダ3からはじまったスモールプラットフォームがCX-30よりもさらに大きな車体にまで活用できる設計だったのである。

CX-50のプラットフォーム判明とともに、これは予想外だった。

同時に、CX-5の後継としてでもいいから日本へも導入すればいいのにと思ったのも正直なところだ。

筆者自身もCX-5オーナーだが、次の買い替え時は登場が予定されているCX-60では価格上昇は間違いないだろうから買いにくくなるし、かといってCX-30では小さい。

もう1度CX-5を買うのもなんだかなあ……。

そんな人に、CX-50はジャストフィットだからだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    工藤貴宏

    Takahiro Kudo

    1976年生まれ。保育園に入る頃にはクルマが好きで、小学生で自動車雑誌を読み始める。大学の時のアルバイトをきっかけに自動車雑誌編集者となり、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。はじめて買ったクルマはS13型のシルビア、もちろんターボでMT。妻に内緒でスポーツカーを購入する前科2犯。やっぱりバレてそのたびに反省するものの、反省が長く続かないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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