最新電動スクーター BMW CE 04へ試乗 42psで航続120km スリムで軽快な走り

公開 : 2022.02.27 08:25

極めて安楽に都市間移動もこなせる

スロットル操作と同時にトルクが湧出し、即座に滑らかに加速する。最大値の6.3kg-mは、1500rpmで発揮するという。試乗車にはダイナミック・パッケージが追加され、ダイナミック・モードも選択可能だった。

ライディングモードを切り替えると、スロットルと回生ブレーキのマッピングが変化する。エコ・モードは穏やかに加速し、可能な限り減速時に運動エネルギーを電気エネルギーへ変換してくれる。

BMW CE 04(欧州仕様)
BMW CE 04(欧州仕様)

ロード・モードは、本来のフル加速を引き出せる。そのかわり、回生ブレーキの効きも大幅に弱くなる。

ダイナミック・モードを選ぶと、赤信号で停まった多くのドライバーを驚かせる勢いでダッシュする。白線の上では、トラクション・コントロールが介入するほど。滑りやすい英国の路面なら、警告灯が頻繁に点灯することだろう。

郊外の道へ進めば、一切のためらいなく、100km/h近くまで加速できる。極めて安楽に、都市間移動もこなせそうだ。免許の点数には気をつけたいところ。

急加速や高速走行をすれば、航続距離は標準の128kmより短くなる。とはいえ、65kmほど思うがままに走った後でも、60km近い航続距離が表示されていたから、減少率は少ないようだ。

車重は先代の電動スクーター、C-エボリューションより軽い。エンジン・スクーターと比べれば30kgほど重たいが、231kgの車重は充分に評価できる。

またBMWの技術者は、重量物を可能な限り車体の低い位置へ搭載するように設計を施した。駆動用バッテリーも路面へ近い位置にあり、実際に乗った感覚では、数字以上に軽快に感じられた。

個性的なスタイリングに扱いやすいサイズ

CE 04はリア周りを中心に車体の幅が狭く、混雑した都市部でも、流れるようにすり抜けられる。バック走行も可能で、駐輪スペースから後ろに出る時も苦労せずに済む。

シート高は780mm。BMWのエンジン・スクーター、C 400 Xより座面は高いが、幅が狭いこともあって、身長が低いライダーでも跨りやすい。ショーワ社製のサスペンションは乗り心地が少々硬めだが、シートは見かけ以上に心地良い。

BMW CE 04(欧州仕様)
BMW CE 04(欧州仕様)

都市部でのアシとして魅力的なBMW CE 04だが、値段はお高め。英国価格は1万1700ポンド(約181万円)からとなっている。試乗車の場合は1万3930ポンド(約216万円)で、エンジン・スクーターの2倍以上だ。

CE 04を買うなら、850ポンド(約13万円)の急速充電器は付けたいところ。可能なら、380ポンド(約6万円)のダイナミック・パッケージも。一方でC 400 Xは6250ポンド(約97万円)から。ガソリン代より電気代の方が安いとはいえ、考えさせられる。

鋭く静かな加速に、都市部でも取り回しやすいスリムなボディ。スタイリングも個性的で、高水準な技術も投入されている。バック走行も便利だ。価格を受け入れられるなら、CE 04は買いの電動スクーターといえる。

BMWは、最新の純EV SUV、iXのオーナーへCE 04にも乗って欲しいと考えている。どちらも街なかで目を引く存在であることは、間違いない。

BMW CE 04(欧州仕様)のスペック

英国価格:1万3930ポンド(約216万円)
全長:2285mm
全幅:855mm
シート高:780mm
最高速度:120km/h
0-100km/h加速:9.1秒
航続距離:130km
電費:−
CO2排出量:−
車両重量:231kg
パワートレイン:液冷永久磁石同期モーター
バッテリー:8.9kWh
最高出力:42ps/4900rpm
最大トルク:6.3kg-m/1500rpm
ギアボックス:−

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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