自家用車にも納得の能力 フォード・レンジャー・ストームトラックへ試乗

公開 : 2022.02.17 08:25

たくましい動力性能で向かうところ敵なし

ストームトラックに載るエンジンのチューニングは、基本的にパフォーマンス重視のレンジャー・ラプターと同じもの。最高出力213psと、最大トルク50.9kg-mを発揮する。さらに、トルクバンドを上手に使える10速ATも組み合わされている。

四輪駆動車らしく、ローレンジとハイレンジも備わる。ドライブトレインからのノイズが大きくなり、燃費は悪くなるものの、オンロードでの安定性やオフロードでの走破性を引き上げることが可能だ。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)

今回の試乗では、ストームトラックの能力を完全には確かめられなかったが、レンジャー・ラプターの向かうところ敵なし的な、優れた能力は以前に体験済み。真冬の英国郊外など、まったく意に介さない環境だといえる。

たくましい動力性能のおかげで、最大積載量は1.0t。最大3.5tまでのブレーキ付きトレーラーを牽引することもできる。広い荷台には、ロープを掛けられるフックが随所に用意され、荷物の固定で悩む心配もない。

堅牢そうなプラスティック製ライナーも装備され、綺麗なレッド塗装を傷つける心配もナシ。ただし、荷室の後端とキャビンの窓下付近はボディが露出しているから、積み下ろし時は気を付けた方が良いだろう。

自家用車として選ぶ理由も理解できる

ダブルキャブの車内には、フォード・フォーカスと同程度の空間がある。リアシートにも、身長の高い大人が問題なく座れる。内装は、レンジャー・ラプター譲りのレザーと丈夫なファブリックが用いられ、スタイリッシュに仕上がっていた。

ダッシュボードは、12年前の発売という時間の経過を隠せない。中央のタッチモニターは小さく、メーターパネルは近年では少なくなったアナログだ。とはいえ、運転に支障はまったくない。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)
フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)

インフォテインメントのOSは最新バージョンだし、直感的に操作できる。期待通りの機能も実装されている。エアコンの操作パネルはアナログで使いやすい。次期型では、縦に長いタッチモニターへ集約されるそうだ。

フォード・レンジャーは、パワフルなエンジンに優れたシャシー、秀でたオフロード性能、装備が充実した広々とした車内に、大きな荷物でも困らない荷台が備わる。エアロクラス社製のキャノピーを載せれば、巨大なフリー空間も作れる。

少なくない英国人が、ピックアップトラックを自家用車として選ぶ理由も理解できる。そして、沢山の荷物を積んでアウトドア・レジャーを楽しんでいる。

能力に長けたモデルなだけに、お値段が気になるところ。モデル末期の限定仕様ということで、ベース車両から600ポンド(約9万円)だけの追加で、ストームトラックが手に入るという。

見た目はカッコいいし、運転した印象も良い。現行型を検討しているなら、逃さない理由はないかもしれない。

フォード・レンジャー 2.0エコブルー・ストームトラック(英国仕様)のスペック

価格:3万4886ポンド(約540万円)
全長:5363mm
全幅:2083mm
全高:1873mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:9.0秒
燃費:10.9km/L
CO2排出量:241g/km
車両重量:2246kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:213ps/3500rpm
最大トルク:50.9kg-m/1750-2000rpm
ギアボックス:10速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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