620psのグランドツアラーで長距離通勤 マクラーレンGT(1) 長期テスト

公開 : 2022.02.19 09:45

最高出力620psのグランドツアラー、マクラーレンGT。英国編集部が毎日の通勤に利用し、その能力を検証します。

初回 グランドツアラーとしての能力は

長期テストに先立って、2017年のマクラーレンの試乗レポートを振り返ってみた。

「驚嘆するほど高い公道での能力、乗り心地や操縦性、素晴らしい使い勝手を、クラスを超えたパフォーマンスと両立させています。しかも、これまでに乗ったどのマクラーレンより、サーキットでの限界領域の懐も深い」

マクラーレンGT ルクス(英国仕様)
マクラーレンGT ルクス(英国仕様)

まさにこの内容は、優れたグランドツアラーに求められるものだと思う。だが、マクラーレンGTのものを振り返ると、近い意味の文面は見当たらなかった。詳細テストでは720 Sが満点を掴んだが、GTは評価が伸び悩んでいる。

ミドシップ・スーパーカーをベースとしたGTは、毎日の究極のクルマになってくれるだろうか。既にマクラーレンのスーパーカーは、普段使いしやすい。果たしてGTは、さらに親しみやすい存在といえるのだろうか。

今後数か月の間に、その能力を紐解いてみたい。早速、このマクラーレンGTについてご紹介していこう。

GTは、720 Sが採用するモノケージIIとは異なり、モノセルと呼ばれるカーボンファイバー・タブをベースに作られている。反面、4.0L V8エンジンと電動油圧のパワーステアリングは共有している。

最高出力は620ps、最大トルクは64.1kg-mを発揮する。スーパーカー級の最大トルクは、3000rpm付近まで回せば、9割が引き出せる。

ガリ傷が怖いホイール 開放的なグラスルーフ

長期テスト車のトリムグレードは、ラクス。パイオニア・グレードとは異なり、レザーとアルカンターラのミックスではなく、フルレザーの内装が与えられている。シートは電動だが、ベースグレードでは手動だ。

ボディカラーは鮮彩。ベリーズ・ブルーと呼ばれる目の覚めるような青で、街なかを走っていると、スマートフォンの格好の被写体になりそうだ。英国価格4000ポンド(約62万円)のオプション塗装になる。

マクラーレンGT ルクス(英国仕様)
マクラーレンGT ルクス(英国仕様)

パノラミック・プライバシー・ガラスルーフは、1750ポンド(約27万1000円)。もし筆者が自らGTを購入することがあっても、選びたいオプションといえる。ルーフが開くスパイダーは選べないが、大きなガラスが生む開放感は魅力的だ。

ハンサムなグラスブラック・ダイヤモンドカット・アルミホイールは、1650ポンド(約25万6000円)。タイヤはピレリPゼロで、見惚れるようなスタンスに仕上がっている。

他のホイールを履いたGTを目にしたことはあるが、これほど存在感はなかったと思う。また、ここまで縁石へ近づきたくないデザインでもなかった。ガリ傷を避けるため、駐車時には気を使いそうだ。

加えて、特別色のブレーキキャリパーが1270ポンド(約19万7000円)で、プライバシー・ガラスは500ポンド(約8万3000円)。選ばれたオプションは、この程度に収まっている。

GTはマクラーレンのエントリー・モデルに位置付けられ、英国価格は16万3000ポンド(2526万円)から。敷居は低くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ピアス・ワード

    Piers Ward

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マクラーレンGTの前後関係

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