世界展開 米フィスカー、新型EV「オーシャン」欧州導入 自社工場を持たないビジネスモデルとは
公開 : 2022.02.07 19:25
米EVメーカーのフィスカーが欧州市場にSUV「オーシャン」を導入。年間6万台の販売を見込んでいます。
オーストリアで年末から生産開始
米国の自動車メーカーであるフィスカーは、新型SUVのオーシャンを欧州市場に導入し、2月28日から3月3日までバルセロナで開催されるモバイル・ワールド・コングレスで一般公開する予定だ。価格は3万4990ポンド(約545万円)からとなる見込み。
欧州仕様のオーシャンは、オーストリア・グラーツのマグナ・シュタイヤー社で生産され、2023年に納車を開始する予定となっている。フィスカーは最近、ドイツのミュンヘンに欧州部門を開設し、同市場での年間販売台数を約6万台と予測している。
ヘンリック・フィスカーCEOは次のように述べている。
「フィスカー・オーシャンをスペインで発表し、パフォーマンス、価値、テクノロジーのユニークな組み合わせを欧州のメディアとお客様に紹介できることは、これ以上ない喜びです。特に、オーシャンのトップクラスの品質を公開するのが楽しみです」
「欧州は当社にとって不可欠で、オーストリアにあるカーボン・ニュートラルな工場での11月の生産開始を予定しています。世界で最も持続可能なクルマを作り、今年中に欧州で納車を開始することを目指します。 最終的には、同地域で年間6万台の販売を見込んでいます」
オーシャンは、競争力のある性能、多くの先進技術、最大560kmの航続距離を持ち、アウディQ4 eトロンやBMW iX3に対抗すると期待されている。また、衝突試験とホモロゲーションのため、パイロット生産も実施される。
サステナビリティ強調 航続航続560km以上?
デザイン面では、2019年に初めて公開されたコンセプトとほぼ変わらず、フィスカーは「空力的な電動ハッチバック」ではなく、「真のSUV」になるとしている。路上での存在感を強調するスリムなライト、ショートオーバーハング、ワイドなスタンスが特徴で、今後登場するであろう新モデルのデザインの方向性も見えてくる。
5人乗りで、インテリアには再生漁網、古着、古ゴムからなる「完全ヴィーガン」な素材を使用し、サステナビリティに取り組む姿勢を見せている。フィスカーは、「世界で最もサステナブルなEV」と主張する。
また、すべての窓を下げ、ルーフを格納することでオープンカー風の走りを実現する「カリフォルニア」モード、後席乗員が車内の各種機能を操作できる「リモ」モード、停車中に縦向きから横向きに切り替え可能な17.1インチの回転式インフォテインメント・タッチスクリーンなどを搭載する。
欧州仕様のグレードは3種類。「スポーツ」はフロントアクスルに最高出力279psのモーターを搭載し、0-97km/h加速は6.6秒、「ウルトラ」は前後アクスルにモーターを搭載して出力を547psに高め、0-97km/h加速は3.9秒を達成。さらに、最上級の「エクストリーム」では558psに強化され、0-97km/h加速も3.6秒に短縮される。
走行モードは「アース」と「ファン」を全車標準で設定。上級グレードのウルトラとエクストリームには性能を高める「ハイパー」モードが追加され、後者には専用の「オフロード」モードも用意されている。
バッテリー容量は未確認だが、航続距離は仕様によって400~560km程度になるとされている。これは米国のEPAテストサイクルに基づくもので、欧州で使用されているWLTPサイクルよりも航続距離が短くなることが多く、欧州発売時には数値が伸びる可能性がある。
充電能力についてもまだ発表されていないが、オーシャンに搭載されたソーラーパネル・ルーフは、理想的な条件下であれば年間最大3200km分の電力を補える可能性があるという。
ウルトラとエクストリームモデルには、中国のCATL社が供給するニッケル・マンガン・コバルト(NMC)を用いたバッテリーが採用されており、フィスカーによると「クラストップの航続距離とパフォーマンス」を実現するとのことだ。