シボレー・カマロZ/28
公開 : 2014.06.04 23:20 更新 : 2017.05.29 18:36
■どんなクルマ?
シボレー・カマロZ/28。それは、アメリカのマッスルカー・ワールドを象徴するモデルであり、そのルーツは1966年まで遡る。
シボレーがフォード・マスタングに対抗して北アメリカ市場でホモロゲーションを獲得するためにデビューさせたこのZ/28は、偉大なるレーサー、マーク・ドナヒューによって、1968年と1969年のSCCAトランザム・チャンピオンシップを獲得したのである。彼は1968年には10回も表彰台の一番高いところに立ったのだ。
その後、Z/28は2002年まで販売されたモデルだ。そして2009年になって、シボレーはそのアイコニックな伝説のZ/28を復活させることとなる。2014年モデルのZ/28は、当初のモデルがそうであったように、完全にサーキットに的を絞ったモデルだ。それは、ポルシェ911GT3 RSと同じような性格と考えて良いだろう。
シボレーは、標準的なエアコンをカットし13kgを稼ぎだしている。また、リアのガラスも薄くされ、これによって400gの軽量化を達成している。19インチのホイールに組み合わせられる305サイズのピレリPゼロ・トロフェオRというサーキット用のタイヤとのセットは、通常のホイール/タイヤのセットよりも22kgも軽い。巨大なカーボン・セラミック・ブレーキは、来るべきC7コルベットZ06と共通のもので、これの重量もオリジナル・セットよりも10kgほど軽い。
エンジンは、C6コルベットZ06から移植された7.0ℓのV8だ。ドライサンプのLS7ユニットは、512psのパワーを持つ。これにトルセン・リミテッド・スリップ・デフが組み合わせられる。
■どんな感じ?
すべてがクイックで、サーキットをターゲットにモディファイと調整がなされたモデルだ。実際、大きく重いZ/28は、西ミシガンの3.2kmのグラタン・レースウェイではポルシェ911GT3 RSと同じペースで周回を重ねた。
ノーマル・アスピレーションのV8エンジンはトルクフルな印象だ。そのサウンドも素晴らしいものがあるが、7000rpmのレブ・リミットまでまわしてもその半分のサイズのエンジンといった大きさではある。
スペシャル・トリック・マルチマティック・ダンパーはZ/28のコントロールを非常に楽にしている。その1732kgという重さを隠すためのものがある。
とは言っても、さすがに重い。これはZ/28の根本的な欠点には違いない。とりわけ遅いわけではないが、それでも低速コーナーからの立ち上がりは、いらいらするものがある。正確ではあるもののフィードバックの足りないステアリング、重いトランスミッション、フィーリングの良くないブレーキ、そしてペダル配置などは、それを助長する。
確かにサーキットでは速いし、それはシボレーが目的とするところでもある。しかし、瀬戸物屋に飛び込んだ牛のように、最終的な感触が欠如しているという欠点を持つ。
これにはGMのゼータ・プラットフォームがさすがに旧くなったということもあろう。同じプラットフォームを持つヴォグゾールVXR8も同じように速く印象的ではあるものの、あくまで一般路上での話であって、サーキットで速いかといえばそうではなかった。
■「買い」か?
否定的な意見を書いたが、それでもZ/28は正直なマッスルカーのフィーリングを持つ好ましいモデルである。また、マニュアル・ギアボックスが提供されているのも嬉しい。
しかし、価格が25%安く、ストリートでは扱いやすく、そしてパワーが15%大きいスーパーチャージャー・ユニットを持つカマロZL1が存在するのだ。Z/28はサーキットでは速いかもしれないが、シボレーのラインナップの中で2番めに高いこのカマロに、ポルシェ・ケイマンGTSと同じだけの金額を払うかというと疑問が残るのも事実だ。
(マーク・ヌーデルース)
シボレー・カマロZ/28
価格 | $75,000(770万円) |
最高速度 | 282km/h |
0-100km/h加速 | 4.2秒 |
燃費 | NA |
CO2排出量 | NA |
乾燥重量 | 1732kg |
エンジン | V型8気筒7008cc |
最高出力 | 512ps/6100rpm |
最大トルク | 66.5kg-m/4800rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |