トヨタとしても初の量産純EV レクサスUX 300e(1) 長期テスト 航続315km
公開 : 2022.02.20 09:45
同クラスでは小さめサイズのモニター
インテリアに身を置いてみると、ラウンジのように居心地が良い。レクサスへの期待通り、非常に快適でリラックスできる。試乗車にはホワイトのレザーシートが組み合わされ、サッカー少年やお散歩後の犬とのドライブには気をつけたい。
メーターパネルはモニター式。内装を見渡すと、レザー調の素材のほか、ソフト加工されたプラスティックが随所に用いられている。硬質な安っぽい素材は、センターコンソールの下側程度だった。
車内の中心的な存在といえるのは、日本ではディスプレイオーディオと呼ばれることも多い、7.0インチのインフォテインメント用モニター。システムとしてはレクサスで共通するもので、少々使い勝手ではライバルに劣る。
英国仕様のモニターはタッチ式ではなく、タッチパッドと小さなコントローラーで操作する。これが少々面倒で、運転中は簡単な操作なども容易ではない。モニター自体も、このクラスとしては小さい。
例えばフォード・マスタング・マッハEやテスラ・モデル3は、15インチもある。ノートパソコンのモニターと同等だ。これは大きすぎると感じる人もいるかもしれないが、現代的な純EVとしては、見劣りすると思う。
オプションで10.3インチを選べるが、5万1345ポンド(約795万円)まで奮発して、英国のトップグレードとなるタクミを選ぶ必要がある。ただし、アップル・カープレイとアンドロイド・オートには標準で対応する。
もの足りない315kmの航続距離
もう1つUX 300eで引っかかるのが、価格と航続距離との組み合わせ。このクラスのコンパクト・クロスオーバーではプレミアム銘柄に属するUX 300eだから、豪華な内装で価格は高め。だが、315kmの航続距離がもの足りない。
カタログ上は、キアeニロで453km、フォード・マスタング・マッハEでも439kmが主張されている。どちらも、より手頃な価格設定にもかかわらず。
筆者は毎日、往復で240kmの自動車通勤をしている。ロンドンにあるAUTOCARの本社まで。果たして途中の充電なしに、気温の低い冬の高速道路で往復することはできるだろうか。
ただし、これまでのところ1度の充電で299kmを走ることはできている。電気を温存するため、エアコンとオーディオ類の利用を限定した条件で。
筆者の自宅のウォールボックスは、毎日のように頑張っている。真っ白な車内は、少しばかり肌寒い。それでも、世の中の純EVへのシフトは避けられないようだ。今後の数か月で、どんな体験ができるのか楽しみではある。