ボルボ、EV生産に巨大鋳造機械導入 「テスラ流」戦略で電動化に弾み コスト面でメリットも

公開 : 2022.02.09 06:25

限界を決めるのは「想像力」と「機械」

――電動モデルの効率はどうでしょうか?

「製造工程でも効率が向上しますが、それ以上に重要なのは、構造体を鋳造する場合、スチール製と比較して、ホイール、サスペンション、パワートレイン、シートなどをよりタイトに造形できることです」

「よりタイトにすることで、たとえばシートの位置を15mmほど低くすることができます。ルーフラインを下げれば、車両の前面投影面積を小さくすることができるのです。これは航続距離に大きな影響を与え、軽量化よりも効果的です」

――このプロセスで製造される最初のモデルはどのようなものでしょうか?

ボルボのEVコンセプト「コンセプト・リチャージ」
ボルボのEVコンセプト「コンセプト・リチャージ」

「モデルはまだ外部に発表されていません。唯一言えることは、2025年頃にこの新しい電動プラットフォームで登場するということです」

――バッテリー工場は、バッテリーそのものの製造にも対応しているのでしょうか?

「このメガキャスティングには、バッテリーとのインターフェイスがあります。バッテリーの後部はこのフロアに取り付けられていますが、それ以外は今は接続されていません」

――メガキャスティングを使うことで、コスト面で大きな利点になることはあるのでしょうか?

「あるでしょうね。このような生産体制を立ち上げるためには多額の投資が必要ですが、一度投資が済めば、とても安いものです。次の世代まで待つ必要はありません」

「もし、早い時期に大きな技術革新があった場合、従来のプラットフォームではフロアラインの再構築が必要でした。今なら、生産を止める必要すらありません。つまり、並行してアップデートを行い、準備が整ったらスタートするだけでいいのです」

――今後、製造面での変化を想定していますか?

「そうですね。可能性は機械の大きさに依存しています。当社が必要としているのは、8000トンのクランプ力を持つ機械です。今年も一昨年もありませんでした。これからどんどん機械が大きくなっていくので、次は何ができるかを考えています。基本的に、できることの限界を決めるのは、人の想像力と機械の大きさなのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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