いろんな意味で「尖った」クルマ ウェッジシェイプの名車・迷車 19選 

公開 : 2022.02.12 18:05

ビッターSC

ドイツのコーチビルダー、ビッター(Bitter)は、ベースとなったオペル・セネターに大きく手を加えた。ドライブトレイン、サスペンション、バルクヘッドを含む基本的なプラットフォームのみを継承し、それ以外はすべてオーダーメイド。BMWやメルセデスのハイエンドモデルに匹敵するビッターSCのクーペ、コンバーチブル、セダンを製作したのだ。

創業者のエーリッヒ・ビッター(1933年生まれ)は、フェラーリ400iからヒントを得て、これらのスタイリングを担当した。ハンサムなモデルだが、米国に導入して売り上げを伸ばそうという計画は頓挫した。そのため、SCの販売は1979年から1989年まで続けられていたにも関わらず、全モデル合わせて500台以下しか製造されていない。

ビッターSC
ビッターSC

シトロエンBX

シトロエンBXのリアホイールフェンダーを見れば、このクルマがランボルギーニカウンタックを手がけたマルチェロ・ガンディーニ(1938年生まれ)のデザインであることがわかるはずだ。そのトレードマークともいえるフェンダーの形状は、全体を構成する妥協なきウェッジシェイプと同様に、BXの本質を表している。

また、ボンネットやテールゲートに樹脂を使用するなど、保守的な市場に対して大胆なスタイリングが施されている。ワゴン仕様はさらに挑戦的なデザインであったが、その賭けは成功し、230万台が販売された。

シトロエンBX
シトロエンBX

クラン・クルセイダー

ロータスのジョン・フレイリング(2021年6月に94歳で死去)とポール・ハウザウアーは、1970年代前半にロータスが高級志向に走る中で、そのギャップを埋める手頃な小型スポーツカーを製造するためにクラン(Clan)社を立ち上げた。そこで生まれたクルセイダーは、すっきりとしたウェッジシェイプで空力特性に優れ、ボディも軽量。ヒルマン・インプのエンジンを最大限に活用できた。

ボディは非常に丈夫なグラスファイバーで、風通しの良いキャビンを備え、品質も良好だった。しかし、1973年に税金が増えたため、クランは1974年に消滅する。この魅力的な小型クーペは、倒産時点で315台が生産されていた。その後、ブランド復活の試みもあったが、すべて失敗に終わっている。

クラン・クルセイダー
クラン・クルセイダー

デロリアンDMC-12

デロリアンの計画は失敗したが、イタルデザインがデザインしたルックスのおかげで、DMC-12は当時としては大胆なクルマとなった。ステンレススチールという、変形しにくい素材を採用していることもあり、あまりウェッジの効いたデザインではないものの、流派の一員であることは確かだ。

このスタイリングは多くのファンを魅了し、1981年から1982年にかけて約1万台が販売された。しかし、PRV(プジョールノーボルボによる共同開発)のV6エンジンの性能は低く、ハンドリングの悪さもあり、たとえ映画の主役であったとしても、不遇の存在となったのである。

デロリアンDMC-12
デロリアンDMC-12

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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