第二のテスラに? 米EVメーカー「リビアン」とは何者 投資家が熱狂するワケ
公開 : 2022.02.10 05:45
テスラに似た動きが?
その後、2010年代半ばのアメリカでは、ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」で、アメリカと中国と連携したEV投資話が乱立した。
ここでもまだ、リビアンの存在感は薄かった。
リビアンが一気に注目されるようになったのは、2016年9月にイリノイ州にあった三菱自動車の生産拠点跡地を購入したときだった。
この際の資金は、ベンチャー企業に対するさまざまな投資によって賄ったが、投資家の間ではこのとき、「リビアンは第二のテスラになるかもしれない」という期待が高かったに違いない。
なぜならば、テスラは同年3月、「モデル3」を発表し、発表から約1週間でグローバルでの受注台数が30万台を突破するという、異例の状況となっていたからだ。
テスラもトヨタから、北カリフォルニアの工場を買収して、EV製造用に大幅改修したが、リビアンがそうしたテスラに似た事業プランを進めたことを、投資家は好意的に捉えたといえるだろう。
さらには、アマゾンがリビアンに輸送用車両10万台購入を打診し、さらに同社への直接投資をおこなうことが報道されたことで、リビアンの株式上場へのお膳立てが整っていった。
「第二のテスラ」 懐疑的な見方も……
アメリカ市場全体の6割がライトトラック(ピックアップトラックとSUV)で占められている。
そのピックアップトラックのEVについて、リビアンが大手を指し置いて初めて「R1T」の量産を開始した。
フォードは「F150ライトニング」量産モデルを公開し、またGMもCES2022で「シルバラードEV」を初公開するも、それよりリビアンが先んじたのだ。
一方のテスラ「サイバートラック」は、2022年内に生産開始になるかどうかという状況だ。
そうした中、リビアンでは第2弾としてSUVの「R1S」も公開し、またイリノイ工場に次いでジョージア州内での数十万台規模の生産能力のある生産拠点の新設を発表した。
ただ、こうしたリビアンの急激な事業拡大に対して、投資家からは同社の将来性に懐疑的な見方もある。
2021年の生産台数は1000台程度であることから、「事業拡大のスピードが経営実態にそぐわないのでは?」という懸念が株式市場で浮上。そのため、株価は最高値時の3分の1程度まで下落している。
さらに、2022年1月に入り、アマゾンが輸送トラックを他社にオーダーする可能性があるとの報道があり、そのすぐ後にリビアンのCOO(最高執行責任者)が辞任することが明らかになった。
果たしてリビアンは第二のテスラになれるのか? 今度の市場動向を注視していきたい。