2022年型F1マシン公開開始 全10チームの状況は? 3月20日バーレーン開幕戦迫る

公開 : 2022.02.10 17:45

今シーズン開幕を3月に控えたF1。ルール改定を経て新型マシンの公開を始めた各チームの状況を振り返ります。

大変動のシーズン? チーム状況を振り返る

メルセデスAMGの長年に渡る支配も、2021年のフィナーレをめぐる騒動も、そして何よりもF1ドライバーたちが互いに追いつき、追い越すことにしばしば困難を感じていることも一旦忘れよう。なぜなら、この2022年はF1が半世紀ぶりに大きな変化を遂げるシーズンだからだ。

マシンのエアロダイナミクス規定の変更により、コンセプトがオーバーボディからアンダーボディのグランドエフェクトに移行した。この大幅な設計変更は、2014年以来初めての、競争順位を劇的に変化させるチャンスだと期待されている。

空力コンセプトのほか、最低重量も38kg増の790kg(燃料抜き)に変更されている。タイムやレース展開に大きな影響を及ぼすことだろう。
空力コンセプトのほか、最低重量も38kg増の790kg(燃料抜き)に変更されている。タイムやレース展開に大きな影響を及ぼすことだろう。

ここでは、3月20日にバーレーンで開催される2022年シーズンの開幕戦を前に、各チームの新車発表順に、現在の状況を紹介する。

ハース(2月4日)

2021年シーズンのハースは、決して自慢できるような結果には至らなかったが、少なくともルーキードライバーのミック・シューマッハとニキータ・マゼピンに貴重な経験を与えることができた。まったくの大失敗、というわけではないだろう。

ミハエルの息子がオリガルヒの息子を打ち負かしたのは予想通りだが、マゼピンが尊敬の念を一片でも得ようとするならば、単純にペースの差を抑えなければならない。ペースはハースチームにとってさらに重要な要素である。2022年型マシンがポイント獲得に失敗すれば、その名を冠したオーナーもタオルを投げ捨てることになるだろう。

ハース VF-22
ハース VF-22

レッドブル(2月9日)

メルセデスAMGは、ターボハイブリッド時代を他のチームとはまったく異なる次元でスタートさせ、ライバルが同レベルに達するまで丸8年を要したが、それを成し遂げたのが強豪レッドブルである。成功を冴えたのはホンダのパワーユニット(PU)だが、ホンダは奇しくもF1からの撤退を決めたため、今年のダークブルーのマシンにその名はつけられていない。

幸い、今年はHRD Sakuraが移行期間としてレッドブル(と兄弟チームのアルファタウリ)にエンジンを供給し、その後ミルトンキーンズに生産を引き継ぐ予定だ。空力ルールの変更を最大限に活用できるのはエイドリアン・ニューウェイ(デザイナー)であることは間違いないだろう。そのため、新たに世界王者となったマックス・フェルスタッペンと彼の「防衛大臣」セルジオ・ペレスのコンビが再びトップに立つことを期待したい。

レッドブル RB18
レッドブル RB18

アストン マーティン(2月10日予定)

アストン マーティンにとっての2021年は、レーシング・ポイントから受け継いだシャシーが空力ルールの変更により弱体化し、中団チームの尻尾をつかむのに苦労したデビューシーズンだった。しかし、アゼルバイジャンGPでセバスチャン・ベッテルが初表彰台を獲得するなど、明るいニュースもあった。

4連覇を達成したベッテルとそのファンは、アストン マーティンが競争力を発揮し(最終目標はタイトル)、彼の遺産をめぐる疑問を払拭してくれることを期待している。チームメイトは再びランス・ストロールだが(おかしなことに)、チーム代表は長年にわたって貢献してきたオトマー・サフナウアーから元BMWザウバーのチーフエンジニア、マイク・クラックに交代している。

アストン マーティン
アストン マーティン

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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