「おわび」から始まった会見 ヒョンデ日本再参入なぜ今? かつての販売「誤った」 新ターゲットは「アンチ」にあらず
公開 : 2022.02.10 11:45 更新 : 2022.03.25 18:48
韓国ヒョンデの日本市場再参入の会見。かつての販売を「誤り」と認め「おわび」から始まりました。
張CEO「おわび」から始まった会見
2009年に販売不振によって日本市場から撤退した韓国HYUNDAI(ヒョンデ)が再び日本市場へ再参入することが2月8日発表された。
「ヒョンデ? ヒュンダイから名前が変わった?」と思われる方も多いだろう。
「HYUNDAI」の名称は変わっていないが、その読み方を本国と同じヒョンデに統一したというわけだ。
日本ではHYUNDAIをローマ字読みにした「ヒュンダイ」が正式名称とされていたが、2020年秋頃から「ヒョンデ」に統一されてきた。
8日におこなわれた記者会見はリアル会場とオンラインでの2系統で進行し、筆者は会場に足を運んだ。
記者会見はヒュンダイ・モーター・カンパニーの社長兼最高経営責任者(CEO)を務める張在勲(チャン・ジェフン)氏の日本語による「お詫びと反省」メッセージから始まった。
これは予想外の意外な展開だったが、冒頭からなかなか熱のこもった内容で再参入への並々ならぬ決意を感じさせるものだった。
「販売不振による撤退から13年ぶりの再参入」ということで、ヒョンデ側もかなり気をつかったと思われる。
要約すると以下の内容となる。
・2010年に日本市場から撤退したことはヒョンデにとって大きな痛みだった。
・販売不振の理由は、日本のお客様ひとりひとりの声に向き合っていなかったことにあると反省。
・期待を寄せて頂いていたお客様には大きな迷惑を掛けた。
そして、韓国の「迷途知返」(一度道を誤った後に正しい道に戻って改める)ということわざを用い、かつての日本市場での販売について「道を誤った」とし、今回の再参入を「正しい道に戻って改める」と表現している。
かつての「ヒュンダイ」 日本でどれくらい売れた?
2001年ヒョンデが日本市場での乗用車販売を始めて間もない2003年4月からNHK BSで「冬のソナタ」の放送が始まったことを契機に、日本は第一韓流ブームを迎えることになる。
「冬ソナ」に代表される韓流ドラマが大ヒットし、日本の中高年女性を中心にヨン様(ペ・ヨンジュン)ブームで盛り上がっていた。
2002年には日韓ワールドカップが開催され、韓国の自動車メーカーであるヒョンデもその波に乗った様々なプロモーション活動を展開した。
なお、「冬のソナタ」においてヒョンデ・ソナタはパク・ヨンハ演じるサンヒョクが乗るクルマとして登場する。
いっぽう実際韓流トップスターのペ・ヨンジュンことチュンサンが乗るのは白いフォード・エクスプローラーで、日本ではこちらの方が非常によく売れたという。
結局、当時のヒュンダイ車は思ったように販売が伸びず、残念ながら2001年から約1万5000台が販売されたものの2009年12月に乗用車の販売から撤退することになった。
なお、2009年2月に導入された大型バスのヒョンデ「ユニバース」は販売が続けられている。
そして現在も日本のオーナーによって大切に乗り続けているヒョンデ車は約600台。
張氏のメッセージによると、それらのヒョンデ車は撤退後から現在まで三菱系ディーラーなど全国60以上のサービス拠点で年1回の点検をおこない日本のオーナーとの絆を守って来たとのことである。