「おわび」から始まった会見 ヒョンデ日本再参入なぜ今? かつての販売「誤った」 新ターゲットは「アンチ」にあらず
公開 : 2022.02.10 11:45 更新 : 2022.03.25 18:48
2年前から日本再上陸の噂が絶えなかった
近年、ヒョンデの日本市場再参入については何度かウワサをされてきた。
最初は2020年2月の終わり頃で、2月26日~28日まで東京ビッグサイトで開催された「第16回国際水素・燃料電池展 ~FC EXPO 2020~」に「ヒョンデ・ネッソ」が展示されたことに依る。
展示車両にはすべて日本のナンバーが付けられていたことから、「ヒュンダイ再上陸?」と盛り上がっていたのだ。
同年4月にはヒョンデ・グローバルブランドアンバサダーである「BTS」(防弾少年団)が出演する水素キャンペーンの動画配信を開始。
6月には「現代自動車ジャパン」がツイッターにて公式アカウントを開設し、同時にエニカでネッソの貸し出しを開始した。
その後、9月には代官山T-SITEにて一般向けの展示会も開催され、すでに日本語のカタログも用意されていたことから、「日本上陸は秒読み!」と思われていたのだが……。
結局そのタイミングでの日本再参入の発表はされなかった。1年4か月が経過し、ついに2022年2月に正式に日本参入が発表されたのである。
2月8日の記者発表で明らかにされたのは主に以下の2点である。
1 日本で販売されるのはFCEV燃料電池車「NEXO」(ネッソ)とBEV「IONIQ5」(アイオニック5)の2車。今後もZEV(ゼロエミッションヴィークル)のみを販売する予定。
2 試乗、見積もり、注文、決済~デリバリーまでオンラインで完結。2022年5月オーダー受付開始、同7月からデリバリー予定
価格は消費税込みで
ネッソ:776万8300円
アイオニック5 479万円~589万円(4グレード展開)
なお、一般社団法人次世代自動車振興センターの公式サイト(2022年2月8日)において「令和3年 CEV事業補助金交付額」としてアイオニック5(4グレード同一)は42万円、ネッソは210万5000円と掲示されている。
なぜ今この時期に再参入を発表したのか?
今、この時期に日本に再参入するにあたって、ヒョンデ・モビリティ・ジャパン株式会社はその理由を、「世界規模で高まる環境配慮への意識や、ひとりひとりが個人の価値観を重視した商品選択をおこなう傾向の高まりを背景に日本社会の変化に対応する商品としてZEV 2車種を投入」としている。
そして、日本での販売を開始した2001年から20年、撤退してから13年が経過しており、韓国や韓国車へのイメージ、実際の韓国車の品質についても当時と今とでは様々なことが大きく変化している。
今回の再参入に関しては、これら韓国や韓国車に対するイメージの変化があったことも大きく影響しているはずだ。
ヒョンデ・モビリティ・ジャパンではその部分をどうとらえて、どのように期待を寄せているのだろうか?
複数のPR担当者に聞いた答えをまとめてみた。
「ヒョンデが最初に日本での販売を開始して20年が経過しました。この20年でヒョンデ車の品質は飛躍的に向上しましたが、確かに2000年初頭のヒョンデ車の品質では、日本のお客様が求めるレベルに対応できていませんでした」
「新たに導入するZEVのネッソやアイオニック5はかつてのイメージを払拭し、高い品質と性能を持ったクルマとして日本のお客様に十分な自信をもってお勧めできると考えています」
「ターゲットとなる世代はデジタルネイティブ、スマホネイティブと言われる若い人たちでクルマ選びから試乗予約、購入やデリバリーまでのすべてをオンラインで完結するスマートな顧客体験に対して抵抗がない世代の方々です」
「韓国や韓国車に対するかつてのイメージが薄く、良いものは良いと自分で判断し選択できる方々にまずは、ネッソとアイオニック5を体験していただきたいと考えています」
なお、他にはない新しい試みとしてネッソやアイオニックはカーシェアプラットフォーム「エニカ」で体験することも可能。
2022年内に「アイオニック5」100台、「ネッソ」20台がエニカ・オフィシャルカーとして投入される予定だ。
ネッソはすでにエニカ・オフィシャルカーとして展開が始まっており、アイオニック5も2月下旬からサービス開始を予定している。
韓国車に抵抗がある人もない人も、一度体験してみるのも良いかもしれない。