シンプルに凄く楽しい トヨタ・アイゴX 1.0へ試乗 クロスオーバーへ一新

公開 : 2022.02.21 08:25

トヨタが欧州で展開する小型車、アイゴ。クロスオーバーへ生まれ変わった最新型を、英国編集部が評価しました。

市街地での運転を考えたリフトアップ

トヨタ・アイゴX(クロス)が発売された。アイゴといえば、欧州では一般的なトヨタのコンパクトカー。だが従来モデルの車高を上げて、クロスオーバー風のボディキットを装備させたわけではない。

斬新な見た目のとおり、これは完全なニューモデル。Bセグメント・ハッチバックのヤリスも採用するプラットフォームを、短縮して採用している。

トヨタ・アイゴX 1.0 VVT-i エクスクルーシブ(欧州仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0 VVT-i エクスクルーシブ(欧州仕様)

都市部向けのコンパクトカーは、純EVへのシフトが進んでいる。それでも、内燃エンジンを搭載した手頃な価格のモデルへの需要は消えていえない。クロスオーバーという流行の波には、しっかり乗ったようだけれど。

クロスオーバーといっても、オフロード性能を重視したわけではない。先代のアイゴ比で11mm持ち上げられた地上高は、歩行者やサイクリストと視線を近づけることが目的だという。混雑した市街地でも発見しやすくし、事故を減らすことができる。

動きが速い自転車が入り乱れる都市部では、運転時のストレスに大きな違いが生まれるだろう。道順があやふやだったりすると、なおのこと。

搭載するエンジンは、1.0L 3気筒ガソリン。マイルドハイブリッドでもなければ、ターボチャージャーで過給もされない、ベーシックな自然吸気となる。加えて前輪駆動のみで、メカニズムはシンプルで安価なものだ。

シフトレバーを積極的に操る楽しさ

純EVの登場が相次ぐなかで、旧式的な内容に聞こえることは確か。しかし、コンパクトカーであっても純EVは価格が高い。フィアット500 エレクトリックでも、英国価格は2万ポンド(約310万円)以上する。

一方で、アイゴXは1万4795ポンド(約229万円)から。訴求力のある数字だ。

トヨタ・アイゴX 1.0 VVT-i エクスクルーシブ(欧州仕様)
トヨタ・アイゴX 1.0 VVT-i エクスクルーシブ(欧州仕様)

最高出力は72psだから、電気モーターのように鋭い発進加速は得られないものの、都市交通の流れへ着いていくことは可能。50km/hを超えてくると、加速は緩やかになっていくが。

ターボエンジンとは異なり最大トルクは4400rpmで得られ、力の山を活用するには頻繁に5速マニュアルを操作する必要がある。だが、アクセルペダルを踏み込んで、シフトレバーを積極的に操ることが楽しい。近年ではなかなか味わえない体験だ。

アイゴXでは、CVTも選択できる。渋滞時の左足の運動から開放されることを考えると、選ばれる割合は多いだろう。

ただし、アクセルペダルを深く踏んだり、急な登り坂へ差し掛かると、CVTらしい動作が気になる。必要なパワーを得るためにCVTが悩み始め、エンジンの回転数が不意に上下してしまう。

不快なほど賑やかなわけではない。だが、右足の操作と関係なく変化するエンジン音は、聞いていて心地良いものではない。

シフトレバーを倒すか、ステアリングホイールのシフトパドルを弾くと、マニュアル・モードを選べる。反応が鋭いわけではないが、フィーリングを改善できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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