量産も見越して 日産キャラバン・マイルーム・コンセプト 「部屋感」へのこだわりとは?
公開 : 2022.02.14 05:45 更新 : 2022.02.14 11:01
派手さというより一体感
――そのほかの「部屋っぽさ」とは?
「REVOシートで、アームレストがマグネット式でこのように脱着でき、フルフラットになります。また、(前席との仕切り部分が)大型スクリーンとなっていて、DVD鑑賞やゲーム用に使えます」
「最近は、ご自宅で小型プロジェクターを使う方も増えていますので。そのほか、ルーバーに取り付けた収納スペースは(数や場所)をカスタマイズできます」
――机や後席ベットも収納できる?
「(中央のテーブルは)回転式のジャックナイフのような仕組みで壁に収まります。(後方の)ベットは片手で軽く操作できて壁側に跳ね上がります」
――前席やエクステリアでの特徴は?
「前席は、ベース車のままです。外装では、ツートンカラー、バンパーをラッピング、スチールホイールをカラーリング、そして車体に山のイメージでラッピング。派手ではなく、クルマ全体が自然と一体化するイメージです」
――では、量産化はどのような形式になるのでしょうか? ディーラー側が個別に対応する、いわゆる「販社架装」が前提でしょうか?
「販社架装として、いったん着地させるのか。それとも、マルチベッドやトランスポーターのようなカタログモデルとして着地させるのか、お客さまの声を考慮して検討中です」
デジタルネイティブ世代に向けて
――自動車メーカーは商用車の乗用向け架装に慎重ですが?
「例えばシートでは、変形できるシートで衝突要件を満たすことについては、自動車メーカーと架装メーカーの間で『線引き』があります。メーカーとしては(新車開発の時点で)衝突に関するNCAPや社内規定などがあり、衝突時に何Gまで補償するといった法規対応が必要です」
――内装についても、乗員の衝突安全への配慮が必要だと思いますが?
「キャラバン・マイルーム・コンセプトの場合、内装で部材のR(角の部分の形状)がきついので、もちろん量産ではさわって大丈夫で、衝突試験での対応なども考慮します」
――最後に、商用車の乗用化について今後の展望は?
「欧米では以前から、『バンライフ』という分野があり、フォトグラファーなどのフリーランサーが車中で寝泊りしながら各地を旅する模様をSNSで発信するというムーブメントが起こりました。さらにコロナ禍となり、日本を含めてひとびとの働き方が変わってきたと感じています」
「日常と非日常において、これまで誰も認知してきなかったライフスタイルの新しい分野が出きつつあります。今後、デジタルネイティブ世代が社会の中核になっていくので、今回のマイルームのようなコンセプトが、ユーザーにとっての選択肢の1つになると思います」