Eクラスからのバトンタッチ メルセデス・ベンツEQE 350へ同乗 航続659km 前編

公開 : 2022.02.15 08:25

後輪駆動の350は292psと53.9kg-m

開発責任者のオリバー・レッカー氏によれば、内燃エンジンのどのメルセデス・ベンツより、EQEの空気抵抗は小さいそうだ。一方でEQSの空気抵抗係数(Cd値)、0.20には達しないとも話していた。

「ルーフラインが短く、リアエンドの丸みが強いため、EQSに匹敵するCd値を得ることは難しい挑戦でした。最終的な数字はこれからですが、何度も風洞実験をしています。Eクラスより大幅に優れた結果にはなるでしょう」

メルセデス・ベンツEQE 350 プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE 350 プロトタイプ

EQEのボディサイズは、全長が4946mm、全幅1961mm、全高1512mm。現行の5代目Eクラスより117mm短いが、101mm幅が広く、18mm背が高い。

EQSより270mm短いものの、全幅はドアハンドルの仕様の違いで35mm広い。全高はまったく同じだ。ホイールベースは3120mmで、90mm短い。

当初に英国へ導入されるEQEは、1グレードのみ。後輪駆動の350になるという。駆動用モーターはリア側の1基で、最高出力292psと最大トルク53.9kg-mを発揮する。

遅れて四輪駆動版が投入されるほか、高性能なAMG仕様も計画にある。この350はEQEのエントリーグレードに当たる。

トランスミッションはシングルスピードのATで、ドライブモードはコンフォート、スポーツ、スポーツ+の3段階がメイン。滑りやすい路面用の、スリッパリー・モードも用意される。

駆動用バッテリーはリチウムイオンで、容量は90kWh。航続距離は、WLTP値で最長659kmと長い。予め温度管理をすることで、ケーブル接続後から最短で、最速の充電を可能としたそうだ。

急速充電能力は最大170kW。EQSより30kWほど少ないが、最短15分で249kmぶんの電気を蓄えられるという。

上位モデルに通じるゴージャスな車内

ドアを開いてEQEの車内に身を置くと、やはりEQSでの既視感がある。オプションとなる、ダッシュボード全面をモニターが占拠するハイパースクリーンと、タッチセンサー付きのステアリングホイールなどが理由だろう。

宙に浮いたようなデザインのセンターコンソールや、柔らかく体を包んでくれるシートも、上位モデルに通じている。ゴージャスだ。

メルセデス・ベンツEQE プロトタイプ
メルセデス・ベンツEQE プロトタイプ

ハイパースクリーンは、メーターパネル部分が12.3インチで、インフォテインメント用が17.7インチという大画面。助手席側にも12.3インチのモニターが用意される。車両情報の確認のほか、移動中に映像を楽しんだり、インターネット検索なども可能となる。

ちなみにハイパースクリーンは、英国では8000ポンド(124万円)のオプション。標準のEQEでは、横長のメーター用モニターがダッシュボード上部に、縦長11.9インチ・タッチモニターがセンターコンソールと続くように据えられる。

車内を観察していると、EQSほどの豪奢さは備わらないことが見えてくる。シートのクッションは少し硬めで、ドアパネルの造形も比較すればシンプル。ターゲット層に合わせて、より質実的にデザインされている。

それでも、モニターは明るく高精細。実際に押せるハードボタン類の、確かでしっとりとしたタッチにも感心する。アルカンターラのほか、マイクロクラウドと呼ばれる新素材が贅沢に用いられ、知覚品質はドイツの上級ブランドに相応しい。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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