イタリアン・スーパーカーに後塵を 日産GT-R(R35型) 英国版中古車ガイド 

公開 : 2022.02.24 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

目的地までの最短移動に固執した技術者チームが作り上げた、容赦ない成果。最高出力480psを備えていても、ドライバーが引き出せなければ意味はない。しかし、R35のドライバーなら、常にすべてを活用できる。

衝撃を受けるほど、クルマの訴求力は大きい。多くの人が好きだと思えるスタイリングに、広々として装備の行き届いたインテリアは仕立ても上等だ。

日産GT-R(2007年〜/英国仕様)
日産GT-R(2007年〜/英国仕様)

路上での存在感もかつてない。その隣に停まったポルシェ997ターボが、かわいそうに見えてしまう。 (2008年2月20日)

専門家の意見を聞いてみる

クリス・マーシャル氏:オート・トルク社代表

「個人的に、3台のR35型GT-Rを所有してきました。クルマとしても熟知していると思います。わたしが最も評価している点は、圧倒的なパフォーマンスとチューニングの可能性ですね」

「価格価値に優れ、あまりお金をかけずともパワーアップが可能です。しかも実用的。スーパーカーの性能を持ちながら、毎日の移動にも乗ることができます。能力が広いクルマです」

「一般的にいって、信頼性も高いです。長期間放置されていたり、悪意のあるオーナーの手に渡ったり、チューニングが不適切でなければ、不具合は起きないといってもいいでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

ABSポンプ

R35型のGT-Rではよく聞く不具合だという。特に年式が古いGT-Rでは珍しくないようだ。部品交換の必要がある。

リア・ショックアブソーバー

ショックアブソーバーからガス漏れする場合がある。特に初期型では珍しくない。パフォーマンスの維持のためにも、早めの部品交換が良いだろう。

フルード漏れ

日産GT-R(2007年〜/英国仕様)
日産GT-R(2007年〜/英国仕様)

ドライブシャフトの付け根やトランスミッション、ステアリングラックのシールからのフルード漏れが起きがち。経年劣化や走行距離の増加で、各部のシールなどから滲んでくる。それほど作業が難しくない部分が中心のようだ。

タイヤの偏摩耗

GT-Rのハイパワーと軽くない車重、アライメント設定などが原因で、タイヤの減りは早い。偏摩耗は、アライメント調整で抑えることができる。

スピーカー

ボーズ社製のスピーカーが組まれているが、フロントドア側がガタついたり、異音が出る場合がある。交換作業は難しくない。

知っておくべきこと

日産GT-Rは、チューニング・ガレージが一度は手掛けたいと考えている夢のクルマ。多くのオーナーが、購入後に性能アップの改造を施している。中古のGT-Rを選ぶ際は、チューニング内容にも気をつけたい。

もしノーマル以上に激しいゴジラへ仕上げたいなら、いくつかのアップグレード・パーツの投入で700ps程は無理なく引き出せる。1000ps以上という例も、しばしば目にする。

日産GT-R(2007年〜/英国仕様)
日産GT-R(2007年〜/英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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