内燃エンジンの頂点:V12 フェラーリ812 GTS x 550マラネロ 最大の理解者 前編

公開 : 2022.02.26 09:45

オールアルミ製シャシーで一新した599

フェラーリとしては、歴史に刻まれるべき重要な節目にもなった。ミドシップのスーパーカーへ傾倒していたマラネロが、V12エンジンを載せたFRの2シーター・グランドツアラーへ回帰したのだから。

同時に、550へ批判的な見方をする人も少なからず存在した。それを受けてか、サスペンションを引き締めたオプション、フィオラーノ・パッケージがすぐに選べるようになっている。

ダークグリーンのフェラーリ812 GTSと、ダークブルーのフェラーリ550マラネロ
ダークグリーンのフェラーリ812 GTSと、ダークブルーのフェラーリ550マラネロ

2年後には、英国では1万6450ポンドという高額オプション、ハンドリングGTCパッケージも追加された。1枚当たり10kgも軽くなるカーボンセラミック・ブレーキに、強化サスペンションを採用。フェラーリの本気といえる内容で、選ぶ価値はあったといえる。

2002年には大改良を受け、575Mマラネロへ進化。われわれが望む通りの、FRのフェラーリへ仕上がっていた。本質的には、8年前の550を受け継いでいたが。

現行の812 GTSに乗ってみると、V12エンジンを搭載したFRの2シーターであるということ以外に、550マラネロとの結びつきは殆ど感じられない。それは後継モデルとして2006年に登場した、599 GTBフィオラノが理由となる。

ピニンファリーナ社で腕を振るっていた、ジェイソン・カストリオタ氏によるスタイリングの599は、すべての面で新しかった。550マラネロでは、スチール製スペースフレームを骨格としていたが、599にはオールアルミ製シャシーが与えられていた。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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