死してなお 今はなき自動車メーカーが残した名車 39選 前編 消えない灯火

公開 : 2022.02.20 06:05

モーリス・マイナー(1948年)

モーリスといえば、第二次世界大戦後、欧米でライトウェイトスポーツカーの道を切り開いたMGの「M」として有名である。しかし、モーリスブランドのクルマという意味では、マイナーに勝るものはない。

性能は当時の水準から見ても落ち着いたものだったが、ステアリングとハンドリングは見事で、戦後の英国の発展を支える主要な交通手段であった。その後、バン、ワゴン、コンバーチブルなどのモデルが生まれ、後に登場した強力なエンジンも大いに活躍。1971年まで140万台が生産された。

モーリスはどうなったのか?

モーリス・マイナー(1948年)
モーリス・マイナー(1948年)

モーリスは1952年にライバルであるオースチンと合併し、ブリティッシュ・モーター・コーポレーションとなった。その後もさまざまな企業と合併し、1968年にブリティッシュ・レイランド・モーター・コーポレーションを設立。モーリスブランド最後のクルマ、イタルは1984年に製造された。現在、オックスフォードにある旧モーリス工場の一部では、BMWのミニを生産している。

オールズモビル4-4-2(1964年)

4-4-2は、オールズモビル・カトラスの性能重視のオプションパッケージとして誕生すると、1968年に本格的なモデルラインに昇格するほどの人気を博した。オールズモビルは米国のチューナー、ハーストと共同で、最高出力395psのエンジン、強化ブレーキ、専用サスペンションを備えた高性能の4-4-2を開発した。

以後数年間、4-4-2という数字は、ハイセンスなパフォーマンスの代名詞となった。1972年のモデルチェンジで、4-4-2はオプションパッケージの位置づけに降格した。

オールズモビルはどうなったのか?

オールズモビル4-4-2(1964年)
オールズモビル4-4-2(1964年)

オールズモビルは、GM傘下の他のブランドはもとより、他社のクルマにも埋もれてしまうことが多くなった。2004年、GMはオールズモビルを閉鎖した。

パナール24 BT/CT(1964年)

パナールといえば、一般ドライバーなら6人乗りの大型セダン、レーサーなら超軽量スポーツカーを思い浮かべるのが当時の認識であった。この2つの要素を融合させたのが、24シリーズである。

ショートホイールベースとロングホイールベースが用意された24は、レーシングカーで通勤することを望まないドライバーに、パナール独自のスポーツ性を提供した。24BTは24CTより長く、後席のスペースが広くとられている。空冷フラットツインエンジンを搭載し、空力特性に優れた設計により高速道路での走行を可能にした。

パナールはどうなったのか?

パナール24 BT/CT(1964年)
パナール24 BT/CT(1964年)

1967年、同社の自動車部門はシトロエンに売却され、自動車メーカーとしてのパナールは消滅した。しかし、軍用車メーカーとしてその名を残し、最終的にはスウェーデンのトラックメーカー、ボルボ・グループの傘下に入った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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