死してなお 今はなき自動車メーカーが残した名車 39選 前編 消えない灯火

公開 : 2022.02.20 06:05

サーブ99(1968年)

サーブの歴史に新たな1ページを刻んだのがこの99だ。それまでの92に影響されたデザインを捨て、ラップアラウンド型フロントガラスを特徴とする、より現代的なデザインを採用したのである。また、トライアンフ製4気筒エンジンは、96のDKW製2サイクルエンジンを過去のものとした。

1978年のターボモデルは、99の進化形として最もよく知られており、以後の高性能サーブの道を切り開くことになった。

サーブ99(1968年)
サーブ99(1968年)

サーブ900エアロ/SPG(1984年)

900エアロ(北米ではSPGと呼ばれる)で、サーブは競争相手のドイツ車と肩を並べる能力を証明し、さらに競争に打ち勝つことを目指した。初期のモデルは既存の900ターボをベースに最高出力162psのターボ4気筒が搭載されたが、1980年代にはパワーアップが図られた。

3本スポークのホイールやボディ下部の樹脂製クラッディングは、見る者に普通の900とは違うことを告げていた。今にして思えば、ボディサイドの樹脂パーツはW201やW124を改良する際にメルセデス・ベンツにインスピレーションを与えたのかもしれない。

サーブはどうなったのか?

サーブ900エアロ/SPG(1984年)
サーブ900エアロ/SPG(1984年)

2000年、サーブはGMに完全買収された。2010年にスパイカーに売却されたが、2011年に生産を終了。その後、中国のNEVSという企業がサーブの権利を買い取ったが、どのクルマにも使われないようだ。サーブの名は、今も軍用機メーカーとして残っており、1990年まで自動車部門と航空機部門は同じ所有権下にあったため、このあたりは複雑で論争があるところだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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