ジープ・コンパス 詳細データテスト 意外にいいボディコントロール 広い室内 ニーズに合えば魅力的
公開 : 2022.02.26 20:25
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
アメリカの象徴的なブランド、といったものの、ジープはこのコンパスを欧州市場を念頭に置いて開発したという。また、マイナーチェンジ前のモデルは、インドの工場で生産されていた。
しかし、この改良版から生産工場を南イタリアのメルフィへと変更した。同じプラットフォームを用いる、より小型のジープ・レネゲードやフィアット500Xと同じ製造ラインから送り出されることになったのである。
それはともかく、コンパスのルックスはジープの一族であることを間違いなく主張しつつ、フェイスリフトでリフレッシュされた。トレードマークの7スロットグリルとスクエアなあごのラインはそのままに、LEDが標準装備となったヘッドライトはややスリムになり、フロントバンパーの薄い水平方向の開口部は拡大された。
ルックス以上に大きく手が入ったのは、パワートレインのラインナップだ。ディーゼルが廃止となったことは今さら驚くに値しない。しかし、オフローダーブランドであるジープが、昔ながらの4WDシステムまでなくしたことは注目に値する。
最廉価仕様はFFで、1.3L直4ターボガソリンとMTの組み合わせ。今年後半には、7速DCTと48Vマイルドハイブリッドシステムを備えるモデルも導入される予定だ。しかし、現時点で4WDや自動変速を手に入れたいのであれば、今回テストする4xeを選ぶしかない。
エンジンはICEモデルと同じ1.3Lで、それが前輪を駆動するのも共通。これに加わるのが、リアアクスル上に設置されて後輪を駆動する、60ps/25.4kg-mの電気モーターだ。これにより、電気式4WDシステムを構築する。
クロスオーバーとはいえ、適切な仕様を選べばオフローダーとしても満足できるものとなるだろう。2グレードあるうち、テストしたSはオンロード向けで、19インチのパフォーマンス寄りなサマータイヤを履いている。悪路向けに設定されるトレイルホークは、車高を上げたサスペンションとマッド&スノータイヤを装着。ブレイクオーバー角は20.9°で、最低地上高は213mm、最大渡河深度は500mmに達する。
ランドローバー・ディフェンダーと見比べればたいした数字ではないが、渡河深度を別にすれば、レンジローバー・イヴォークP300eをも凌ぐ。また、電子制御の助けにより、トレイルホークはほとんどのクロスオーバーやSUVでは到達しえないような場所まで走破できる。
今回のテストでは、コンパス4xeのオフロード走行は行っていない。Sグレードが履くのは19インチのグッドイヤー・イーグルF1で、その悪路性能の不足は、電子制御でも補い切れないからだ。