遂にワーゲンバス復活 フォルクスワーゲンID. Buzz(バズ) 試作車へ試乗 後編

公開 : 2022.02.23 08:26

今も多くの人に愛されるVWタイプIIが、純EVで復活。ポップなデザインに、優れた実用性と航続距離が期待できそうです。

バン・ライクなドライビングポジション

フォルクスワーゲンタイプIIと比べて、明確に大きくなった同社最新の純EV、ID.バズ。ただし、やみくもに成長したわけではない。

ルーフラインは2mを切るから、欧州なら多くの立体駐車場に入れる。現行のフォルクスワーゲン・トランスポーター、T7と比べると全長は抑えられており、一般の駐車スペースにも問題なく停められる。

フォルクスワーゲンID.バズ・カーゴ・プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.バズ・カーゴ・プロトタイプ

現代の基準でいえば、妥当なボディサイズの実用車とはいえるだろう。フォード・トランジットより小さく、シトロエンベルランゴよりは大きい。

今回、筆者が運転を許されたのは、商用車仕様となるID.バズ・カーゴのプロトタイプ。フォルクスワーゲンから与えられたのは1時間のみで、車内の殆どが偽装されていた。

一般的な乗用車仕様がどんなドライブフィールなのか、車内空間がどれくらい広いのか、実際には確かめられなかった。それでも、かなり期待はできそうだ。

少し高めの運転席へ、足に力を込めて身体を滑らせる。車内へ落ち着くと、フォルクスワーゲンらしい人間工学に優れたシートが、身体を支えてくれる。ゴルフより上を向いたステアリングホイールや、ペダルの配置が、バンに乗っている気分にさせる。

ドライブセレクターは、ステアリングホイールの右側にあるレバー。初めは不自然に思えたが、すぐに慣れることができた。

洗練された走りの質感 乗り心地も穏やか

メーターパネルは、ID. 3などと同様に全面がモニター式。お望みなら、最大で12.0インチのインフォテインメント用タッチモニターも、ダッシュボードに据えられる。

現代のモデルらしく、アンビエントライトやスマートフォンのワイヤレス充電機能なども付けられる。上級なID.バズに仕立てたいなら、オプションで21インチまで、ホイールをインチアップすることも可能だ。

フォルクスワーゲンID.バズ・カーゴ・プロトタイプ
フォルクスワーゲンID.バズ・カーゴ・プロトタイプ

アクセルペダルを踏み込むと、とてもスムーズでレスポンシブにID.バズは発進した。市街地の交通なら、充分なパワーを備えている。それ以上の速度を求めると、加速力は陰りを見せる。テスラとは違う。

追って登場するツインモーターの方が、動力性能の印象は良さそうだ。といっても、ワーゲンバスにそんな速さは必要ないと思う。

求められるのは、家族全員が笑顔で座れ、荷室やルーフにキャンプ道具やレジャーアイテムを積んで走れること。運転しやすいということが、1番の優先事項だといえる。速さの優先順位は、ずっと低い。

走りの質感はとても洗練されている。従来の小型商用車と比べれば、毎日の仕事を遥かに心地良くこなせそうだ。駆動用モーターが静かなだけではなく、乗り心地も穏やかで、路面からの入力の影響を受けにくい。

商用車仕様の場合、リアのコイルスプリングがわずかに硬いそうだが、それでも乗り心地は良かった。短時間走った高速道路では、フロントガラス周辺から出る風切り音も小さかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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