新型フェラーリ・プロサングエの姿が明らかに 同社初の高性能SUVがリーク

公開 : 2022.02.23 06:25  更新 : 2022.09.14 08:42

高い柔軟性 電動化の可能性も

フェラーリプロサングエの詳細について口を閉ざしたままだが、その輝かしい72年の歴史の中で、最も革新的な進化を遂げるための理論と挑戦については、喜んで話してくれた。

プロサングエには、フェラーリのフロントミドエンジン・アーキテクチャーが採用されることが知られている。これは、将来の製品群を支える、非常に柔軟性の高い2つのアーキテクチャーのうちの1つだ。

フェラーリ・プロサングエと思われるプロトタイプ
フェラーリ・プロサングエと思われるプロトタイプ    AUTOCAR

どちらのアーキテクチャーも、V6、V8、V12エンジン、ハイブリッドの有無、トランスアクスル・デュアルクラッチ、後輪駆動または4輪駆動、2シーター、2+2、4シーター、そして複数のホイールベース長に対応することが可能だ。

この幅広いパラメーターから、SUVは全長5mの4シーターに設定された。車高調整可能なサスペンションによって地上高を確保し、オフロード性能とオンロード性能を両立させるためアンチロール・システムも採用するだろう。パワートレインは、新型296GTBのV6エンジンが採用される見込みだが、SF90に採用されたハイブリッドV8も候補に挙がっている。

また、フェラーリはV12エンジンの開発に取り組んでおり、プロサングエの最上位モデルへの導入も有力視されている。

レイターズは、「SF90は、非常に多くの革新技術を投入した新しいクルマです。ここから多くのモデルへと発展していくでしょう。ですが、SUV開発の課題にはまったく異なるものも含まれています。イノベーションも必要とされ、組織としても多くの学びがありました」と語る。

SUVを含むすべてのGTモデルは、「目は道路に、手はハンドルに」というアプローチに基づき、まったく新しいインテリアレイアウトを採用する予定だ。新しいデザインのステアリングホイール、新しいインフォテインメント、ヘッドアップディスプレイ、新しい計器類、新しい操作方法、リアシート・エンターテインメント、乗降性の向上などが盛り込まれている。

スポーツ性と快適性 新たな「GT」

レイターズは、同社初のSUV開発で直面している課題についても話してくれた。

「広いだけでなく、人間工学に基づいた快適で安楽な空間を生み出すには何が必要でしょう?スポーティでありながら、快適性にも重点を置いたデザインとは?ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)のより民主化された理想とは?本当の意味での快適性とは?フェラーリの純粋なDNAを備えた快適性とは何でしょうか?」

フェラーリ・プロサングエと思われるプロトタイプ
フェラーリ・プロサングエと思われるプロトタイプ    AUTOCAR

「スペースがあれば、人間工学に基づいた快適な乗り心地をどのように確保できるのか。スポーティなレイアウトと快適性を重視したデザインをどう組み合わせるか。HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)をどうするか。当社のHMIはドライバー志向ですが、どうすればもっと民主的なものになるのでしょうか。快適性とは何か。快適性を追求したフェラーリのピュアなDNAを持つクルマとは?」

「それは『挑戦』であり、『機会』であり、『楽しみ』でもあります。コンセプトの中には近いものもありますが、175のようなクルマで我々がやりたいことの1つは、製品レンジを構成し、何か違うものを手に入れることです」

レイターズは、2つの新しいアーキテクチャーについて、将来のフェラーリモデル間ではるかに大きな柔軟性を提供すると述べた。

「V6やV12が必ず出てくるとは言えませんが、想定はしてきました。わたしの仕事は、会社に新しいモデルの可能性を示すこと。そして市場ニーズに耳を傾けることです」

「求められる機能性はお客様によって異なります。どれだけの広さが必要なのか。6気筒や8気筒は必要なのか。ホイールベースは長い方が良いのか。そこでV6、V8、V12エンジンを用意し、フロントミドシップやミドシップ、ハイブリッドの有無や駆動方式、シートレイアウトなど幅広い選択肢を用意します。ホイールベースの長さも自由です。最小限の影響で、ドライブトレインやレイアウトを変更できるのです」

フェラーリのデザイン部門の主任であるフラビオ・マンツォーニによれば、物議を醸すであろう同社初のSUVのために、デザイナーは当初からエンジニアリング部門とともに仕事を進め、より最適なプロポーションを目指してきたという。

「最初のステップでクルマのデザインを定義し始めるのです。その定義づけの段階で、エンジニアと協力しながら方向性を決めていきます。プロポーションとボディサイズを決定することで、優れたデザインのベースが生まれるのです。それはSUVの場合でも同様です。多くのSUVは、他のクルマの派生モデルです。デザイナーは技術要件での制約をクリアしなければなりません」

「フェラーリの場合、妥協は許されないのです。エンジニアと一緒にデザインを進めなければ、パッケージの決定段階で問題が発生します。新しいプロジェクトを始める時は、(他部署との)協力を推し進めています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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