世界最大級の自動車図書館が凄すぎた 個人所蔵の貴重なコレクションに圧倒
公開 : 2022.02.23 19:45
クルマ好きが憧れる「知」と「歴史」の宝庫
バトラー氏は、午後3時からオンラインビジネス会議があるとのことで、残念ながらここで解散となった。一週間前に教えてくれたので、筆者を追い払うための策略ではない。もしその会議がなかったら、筆者は永遠にここに留まることになる。
どこを見ても、新しい発見がある。ブレリオの写真を含む、航空史初期の写真集。キャプションなしの未発表のもの。宝物の山だ。バトラー氏の奥様はロシア人で、眼科医(彼女の専門を表す長い単語があるのだが、Googleも筆者もそのスペルがわからない)であり、レーザー眼科手術のパイオニアの1人である。彼女の父親は、1960年代にロシアの宇宙開発計画の電気主任技術者だった。言うまでもなく、バトラー氏はロシアのモータースポーツや航空関係の本をたくさん持っている。
なんという日だろう、なんという愛好家だろう、なんという素晴らしいコレクションだろう。
彼が亡くなったとき、この貴重なアーカイブはどうなるのだろうか?失礼を承知で尋ねると、「いい質問です」と答えてくれた。「アーカイブを売るのはとても難しいんです。このアーカイブの行き着く先をどうするか、それが問題になるでしょう」
1つだけ確かなのは、もしまた英国でロックダウンが実施されたり、10日以上自己隔離しなければならなくなったら、筆者はここに向かうということだ。寝袋とともに閉じ込もり、もしそれでバトラー氏が困らないなら、一日に何度かドアの下からサンドイッチの皿を忍ばせてくれるだけでいい。人生をかけてもいいと思えるようなものが、この塀の中にある。気取った言い方かもしれないが、筆者のライフワークがそこにある。