シトロエンの小型SUV、どう変わったのか? 改良新型「C3エアクロスSUV」試乗

公開 : 2022.02.24 19:15

走りは? 街/高速道路でチェック

1320kgの車両重量は旧型とほぼ同じ。なので加速は余裕があるが、ATが8速化された新型C4と比べると、各ギアでそれなりに引っ張って次につなぐというフィーリングだ。

でもそのリズム感がC3エアクロスSUVのキャラクターには合っているし、加速時の3気筒の響きはどことなく2CVの空冷フラットツインを思わせる。

改良新型C3エアクロスSUVシャイン・パッケージ(カーキグレー)
改良新型C3エアクロスSUVシャイン・パッケージ(カーキグレー)    前田惠介

プラットフォームは新型C4やプジョー208/2008、DS3クロスバックが採用するCMPよりひと世代前の、PF1を使っている。クルーズコントロールがアクティブではないのは、この点が理由だろう。

ただし直進安定性そのものは、前輪駆動車の老舗らしく優秀だった。

シャインパッケージに標準で与えられるオフロードモードのグリップコントロールは、今回は試す機会はなかったが、前輪駆動車とは思えない走破性を発揮することは、他の車種で確認済みであることを付け加えておく。

シトロエンの乗り味を全身で

サスペンションはC3より高めの車高に合わせて、スプリングやダンパーを固めているようだ。さらにベースグレードのシャインでは205/60 R16のホイール/タイヤが215/50R17になっている。

おかげでハンドリングに気になる点はなかったが、乗り心地はシトロエンとしては固め。

試乗車はシャインパッケージのため、パノラミックサンルーフ(電動メッシュサンシェード付き)を標準装備。
試乗車はシャインパッケージのため、パノラミックサンルーフ(電動メッシュサンシェード付き)を標準装備。    前田惠介

16インチのベースグレードならもう少しまろやかになりそうだし、新型C4が履く195/60R18のような細く大径のサイズを投入すると、印象が変わるかもしれない。

とはいえ不快に感じないのは、使い慣れたプラットフォームならではの経験が、入力を巧みにいなしてくれることと、アドバンストコンフォートシートがショックをやわらげてくれるおかげだ。

思い起こせば2CVも、ハーシュネスの処理は不得意で、普段のふんわりゆったりとは対照的な鋭いショックに見舞われることがあった。でもそれを不快に思わなかったのは、簡潔な構造のシートが優しく体を支えてくれたからだ。この部分からも2CVとの近さを感じる。

パワートレインについても言えるが、熟成のメカニズムだからこそ出せる味わいを、シトロエンらしさにうまく結びつけていると感じた。

ボディやインテリアを含めて、全身が穏やかな波長で統一されており、リラックスした気分の中でクルージングを続けていくことができた。

改良新型C3エアクロス スペック

C3エアクロスSUVシャイン・パッケージ

価格:328万6000円
全長:4160mm
全幅:1765mm
全高:1630mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):16.7km/L
車両重量:1320kg
パワートレイン:1199cc直3ターボ
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.5kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速オートマティック
駆動方式:前輪駆動
最低地上高:160mm
乗車定員:5名

改良新型では、リアクォーターウインドウのグラフィックがブラインド風のものからC型に変わった。
改良新型では、リアクォーターウインドウのグラフィックがブラインド風のものからC型に変わった。    前田惠介

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)
  • 編集

    徳永徹

    Tetsu Tokunaga

    1975年生まれ。2013年にCLASSIC & SPORTS CAR日本版創刊号の製作に関わったあと、AUTOCAR JAPAN編集部に加わる。クルマ遊びは、新車購入よりも、格安中古車を手に入れ、パテ盛り、コンパウンド磨きで仕上げるのがモットー。ただし不器用。

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