魅力は変わらずアップデート フォルクスワーゲンTロック 2.0TSIへ試乗 小変更

公開 : 2022.03.06 08:25

プレミアムさを増したインテリア

ステアリングは、運転状況でアシスト量が変化するプログレッシブ・レシオが、オプションで装備されていた。普通に運転している限りは軽いが、活発に走らせるとダイレクト感が増していく印象。切り初めの手応えは、もう少し欲しいところだ。

全長や全幅がゴルフに近いだけあって、Tロックは適度にコンパクト。市街地での取り回しがしやすく、入り組んだ道でも直感的に操れる。ただし車高は高いから、従来的なハッチバックよりボディの動きは大きい。

フォルクスワーゲンTロック 2.0TSI 4モーション Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲンTロック 2.0TSI 4モーション Rライン(欧州仕様)

乗り心地は落ち着きに優れるものの、ゴルフほど締まりがあるわけではない。オプションとなる、アダプティブダンパーのダイナミック・シャシー・コントロールを装備していても、及ばないようだった。

ちなみにTロックは、MQBプラットフォームと、フロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式のサスペンションを、8代目ゴルフと共有している。

インテリアは、ボディや駆動系より変更度合いが大きい。フェイスリフト前は、硬質なプラスティックが多すぎるという意見があったためだろう。

それに応えるべく、「プレミアムなフィーリング」とフォルクスワーゲンが表現するリフレッシュが与えられた。特にダッシュボード表面には、ソフトタッチ加工が広範囲に採用されている。

基本的なデザインに変更はないが、新しく8.0インチのモニター式メーターパネルを獲得。ダッシュボード中央には、6.5インチか8.0インチ、9.2インチのタブレット風タッチモニターを据えることができる。

乗りやすいファミリー・クロスオーバー

インフォテインメント・システムも、フェイスリフトに合わせて第3世代となるMIBへアップデート。スワイプや操作に対する反応は、一部のライバルほど素早くないものの、従来より遥かに操作性は良くなっている。

欧州仕様の場合は、リアルタイムの交通標識認識と会話形式の音声認識の機能も搭載。アップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応するほか、フォルクスワーゲンが提供するサービス、ウィーコネクトへ接続するため、SIMカードも内蔵される。

フォルクスワーゲンTロック 2.0TSI 4モーション Rライン(欧州仕様)
フォルクスワーゲンTロック 2.0TSI 4モーション Rライン(欧州仕様)

ディティールも、化粧トリムのカラーやドアパネル、タッチセンサーやスイッチ類などが新しくなっている。ステアリングホイールも8代目ゴルフと同様に、タッチセンサーを備えたマルチファンクション・タイプへ置き換えられた。

高い人気を誇るTロックの特長は、フェイスリフト後も変わらない。品質に優れ、とても乗りやすいファミリー・クロスオーバーだ。細かな改良を経て、従来より充足感は高められている。

ただし、標準装備が見直されたことで英国価格は上昇した。ちょっとお手頃とはいえないかもしれないが、これまで通りの売れ行きを示すであろうことは、想像に難くない。

フォルクスワーゲンTロック 2.0TSI 4モーション Rライン(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万9000ポンド(約604万円)
全長:4236mm
全幅:1819mm
全高:1573mm
最高速度:217km/h
0-100km/h加速:6.8秒
燃費:15.4-16.1km/L
CO2排出量:143-150g/km
車両重量:1508kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:190ps
最大トルク:32.5kg-m/1500-4100rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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