アウトバーンの王者 ポルシェ928 英国版クラシック・ガイド NA V8は堅牢 後編

公開 : 2022.03.19 07:06

V8エンジンのFRポルシェ、928。新車時の評価は今ひとつでしたが、クラシックとして近年は価格上昇中。英国編集部の解説です。

手入れを怠らなければ耐久性の高いV8

ポルシェ928のオールアルミ製V型8気筒エンジンは、比較的堅牢。定期的な手入れを施していれば、リビルドまでにシリンダーヘッド側で約19万km、ブロック側で約24万kmは走れる耐久性を備えている。

始動時や回転数を高めた時に、排気ガスへエンジンオイルが燃えた白煙が見られないか確かめる。酷い場合は、最低でもヘッド周りのオーバーホールが必要と考えたい。クランクシャフトから振動が出ている場合、近々のリビルドは必死だろう。

ポルシェ928(1977〜1995年/英国仕様)
ポルシェ928(1977〜1995年/英国仕様)

1987年に登場した928 S4では、ヘッドスタッドの代わりにヘッドボルドが与えられている。エンジンヘッドの取り外しは容易なものの、ヘッドにヒビが入る場合がある。1989年には鋳造の厚みが増え、ボルトも長くなり、強度が高められた。

さらにこの1987年式では、LHジェトロニック2.3のECUとイグニッションECU、マスエアフロー・センサーの不具合が珍しくない。専門店に予め相談しておくと良いだろう。

メーターパネルには、主要な故障が発生すると光る警告灯が2つある。1つは軽微な内容で灯るもので、手動でキャンセルさせることも可能だ。

年を追う毎に改良されたシャシー

ポルシェ928のトランスミッションまわりは、モデルライフを通じ何度かアップデートを受けている。クラッチやトルクチューブ、ギアボックスなど、変更か所は多い。

クラッチは当初ツインプレートだったが、S4ではシングルプレートに変更されている。5速マニュアルは全生産台数の20%程度しかなく、現在の取引価格は、3速か4速のオートマティックより1割から2割ほど高い。

ポルシェ928(1977〜1995年/英国仕様)
ポルシェ928(1977〜1995年/英国仕様)

ブレーキとサスペンションも、年を追う毎に改良を受けている。パッシブ後輪ステアリング機能は、ヴァイザッハ・アクスル構造によって得られている。アンダーステアを最小限に抑えることが可能だ。

アルミホイールのデザインやサイズも、複数種類が存在する。ホイール・オフセットは928専用だから、流用は難しいだろう。

ボディは亜鉛メッキされ、当初は6年間の腐食保証が付帯された。1986年以降からは10年間に延長されている。まったく錆びないことはないものの、悪化することは珍しい。

トップグレードの928を探す場合は、VINとエンジン、オプション内容のコード番号を確かめる。北米仕様の928はパワーが劣るから、エンジンが載せ替えられている場合は特に注意したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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