アウトバーンの王者 ポルシェ928 英国版クラシック・ガイド NA V8は堅牢 後編
公開 : 2022.03.19 07:06
購入時に気をつけたいポイント
電気系統
燃料インジェクションのLHジェトロニック用ECUと、マスエアフロー・センサー、点火系ECUは、一般的な電気系統と同様に不調になることがある。ヒューズとリレー、ECUのコンパートメントは、助手席側の足元にある。
ボディ
亜鉛メッキされているが、ボディは錆びなくない。サイドシルの内側やサブフレーム、リア・サスペンションアームなどが弱点。燃料やブレーキのパイプ類も観察したい。
エンジン
タイミングベルトとテンショナー、ウォーターポンプは、4年毎か9万6000km毎での交換が指定されている。過去の交換履歴の確認はお忘れなく。回転が不安定な場合、ディストリビューター間の補機ベルトが原因のことも。
「スパイダー」と呼ばれたエアインテークは、シングルカムのV8エンジンの調子を左右する。メンテナンスを怠らなければ、リビルドなしに24万kmほどは走れる。オイルの消費量には気をつけたい。
バキュームホースまわりの漏れを確認する。アイドリングが落ち着いているか、オイル漏れや排気ガスの白煙はないか、エンジンオイルとクーラントが混ざっていないか、エンジンマウントがヘタっていないかもチェックポイント。
冷却系
ラジエータークーラントの漏れがないか、ヒーターが機能するかを確かめる。エアコンのコンデンサーが前面に付いている。
新品のラジエーターは、英国では1000ポンド(約16万円)以上することも。クーラントは定期的に交換したい。
ステアリングとサスペンション
ステアリングラックやパイプまわりからのフルード漏れがないか点検する。
サスペンションは、フロント・ロワボールジョイントが摩耗しやすい。ダンパーの劣化にも気をつけたい。ベアリングとブッシュがヘタると、操縦性が冴えなくなる。
インテリア
初期の928には、ハーフレザーか合皮にパシャ・チェッカー柄のベロア生地が用いられていた。クラシックとしては渋くて悪くないインテリアだが、後期型からフルレザー内装が追加され、こちらの方が支持率は高かった。
ポルシェ928のまとめ
高めの維持費や、伸び悩んだ中古車価格、安価に手に入れたオーナーによる不充分なメンテナンスなどが原因で、ポルシェ928の多くが失われてきた。素晴らしい状態の例もなくはないが、発見は難しい。
それでも、トップグレードの928は以前から需要が低くない。メンテナンスもしっかり受けてきた例が殆どで、そのぶん価格も高い。
ポルシェ928は、普段使いできるクラシック・スーパーカーだといえる。現代でも充分速く、近年は価値も上昇中だ。
良いトコロ
運転するだけで充足感を得られる、リラックスした雰囲気のグランドツアラー。手入れが行き届いていれば信頼性は高く、トラブルも少ない。
ポルシェの専門店なら、弱点に対する解決策も熟知していることが多い。整備費用も、想像ほど高くないといえる。
良くないトコロ
過去に放置されてきた928の状態を立て直すには、かなりの費用が必要になる。クルマの価値を超えてしまう場合も珍しくない。
ポルシェ928(1977〜1995年/英国仕様)のスペック
英国価格:2万1827〜2万5250ポンド(1981年時)
生産台数:6万1056台
全長:4445-4519mm
全幅:1836-1849mm
全高:1282-1316mm
最高速度:225-273km/h
0-97km/h加速:5.4〜7.0秒
燃費:5.0-8.5km/L
CO2排出量:−
車両重量:1471-1600kg
パワートレイン:V型8気筒4474/4664/4957/5397cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:240ps/5500rpm-350ps/5700rpm
最大トルク:35.4kg-m/3600rpm-49.9kg-m/4250rpm
ギアボックス:5速マニュアル/3速・4速オートマティック