誰も知らないSUV 32選 前編 生まれる時期が早すぎた不運な名車・珍車

公開 : 2022.03.05 06:05

今や人気絶頂のSUV。しかし、注目を集めることなく忘れられてしまった不運なモデルも数多く存在します。

生まれる時期を間違えた? 影の薄いSUVたち

市場に早く出ることは、必ずしも良いとは限らない。

2022年現在、SUVは街角に溢れているが、このボディスタイルが台頭したのは比較的最近のことである。今のような人気を集める前に発売されたSUVの多くは、ほぼ完全に忘れ去られているか、あるいは後塵を拝した存在として不名誉なレッテルを貼られている。

マイナーなOEM車や日本未導入モデルなど、影の薄いSUVを取り上げる。
マイナーなOEM車や日本未導入モデルなど、影の薄いSUVを取り上げる。

現在のSUVの原型となったモデルもあるが、街で見かけることはほとんどない。今回は、ジープのようなアルファ・ロメオから、いすゞの奇想天外なコンセプトまで、覚えておきたいSUVの数々を紹介する。

アルファ・ロメオ・マッタ(1951年)

アルファ・ロメオは走りの性能に根ざしたブランドだが、商用車も多く販売しており、各種バンや1951年に登場したオフローダーのマッタ(Matta)などがある。マッタはイタリア軍向けに開発されたが、最終的にフィアットの提案した初代カンパニョーラが採用された。

アルファ・ロメオはマッタの販売を断念せず、1951年から1955年にかけて約2059台を製造した。そのほとんどはイタリアの政府機関(皮肉にも軍隊を含む)の手に渡ったものの、数百台は一般市民にも販売された。マッタは、1900に搭載されたデュアルオーバーヘッドカム(DOHC)の1.9L 4気筒エンジンを流用した、見た目どおりの初歩的なモデルである。

アルファ・ロメオ・マッタ(1951年)
アルファ・ロメオ・マッタ(1951年)

インターナショナル・ハーベスター・トラベル(1953年)

インターナショナル・ハーベスターは、1953年から1975年まで4世代にわたってピックアップベースのSUVにトラベル(Travelall)の名を冠していた。トラック由来の足回りからわかるように頑丈で、ほとんどのモデルに四輪駆動が設定された。

コンバインやトラクターを設計していた会社が製造した乗用車だが、家族全員でブランチに行くのは想像以上に快適だったようだ。インターナショナル・ハーベスターは1960年代、4WDを日常の足とする購入者のニーズに応え、トラベルの乗り心地を改善していった。

インターナショナル・ハーベスター・トラベル(1953年)
インターナショナル・ハーベスター・トラベル(1953年)

そんなトラベルに影を落としていたのが、シボレー・サバーバンだ。トラベルには、ピックアップトラックとSUVの中間的な存在で、5輪トレーラーの牽引を想定した「ワゴンマスター」も土壇場で追加されたが、販売台数は伸びなかった。

1975年のモデルイヤーを最後に、ワゴンマスターは引退。インターナショナル・ハーベスターは、1980年に乗用車の製造を中止した。写真は最終世代モデル。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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