誰も知らないSUV 32選 前編 生まれる時期が早すぎた不運な名車・珍車
公開 : 2022.03.05 06:05
ダイハツ・ロッキー(1988年)
日本ではラガー、英国ではフォートラックと呼ばれたコンパクトSUV。日本や英国では通用したが、SUVに骨太感を期待する米国では小さすぎた。エンジンも最高出力100psに届かない4気筒エンジンで、十分なパフォーマンスとは言えない。ハンドリングも酷く、米国内でのイメージダウンにつながり、1992年に米国市場から撤退してしまった。
ベルトーネ・フリークライマー(1989年)
1980年代、4×4市場は大きく変貌を遂げた。ジープ・グランドワゴニアやランドローバー・レンジローバーなど、かつては道具として購入されていたモデルが、ステータスの象徴となったのである。
ベルトーネは、この変化をチャンスと捉えた。ダイハツのロッキーをベースに、インテリアを一新し、デザインに手を加え、さらにエンジンをよりスムーズでパワフルなBMW製に換装。1989年からフリークライマー(Freeclimber)として販売した。
1989年から1992年にかけて、初代フリークライマーは約2800台製造された。この数字は決して輝かしいものではなかったが、ロッキーの改良型をベースとした2代目モデルの開発を決定するには十分だった。1992年に販売を開始したフリークライマーIIは、1995年まで2800台が製造されたが、ベルトーネは他のプロジェクトに生産能力を振り向けるため製造中止を決定した。
ラフォルツァ5リッター(1989年)
1980年代後半にイタリアを旅した人なら誰でも知っているような、1989年に発表されたラフォルツァ5リッター(LaForza 5 Liter)。イタリア軍、警察、カラビニエリのために作られたレイトン・フィッソーレ・マグナムをベースにしている。
フィアット・ウーノのステロイド版といった感じのマグナムを設計したトム・ティヤルダが、レンジローバーに代わるラグジュアリーSUVの設計を依頼された。こうして生まれた5リッターは、フォードから供給された4.9L V8エンジンと4速ATを搭載し、四輪を回転させる。本革シートやリアルウッドなど、高級感あふれる室内空間が特徴。
当初はカリフォルニアを中心によく売れたが、初期型はさまざまな問題に悩まされ、同社の米国部門に打撃を与えた。1990年に破産申請し、サウジアラビアのバドラーン・エンタープライズ社がその資産を買い取り(本国で5リッターの販売を開始)、復活を遂げたのである。
その後、先進的な高級イタリアンSUVは米国に戻り、1990年代には何度かアップデートが行われたが、レンジローバーの人気には及ばなかった。2000年代前半に販売を終了している。