誰も知らないSUV 32選 後編 生まれる時期が早すぎた不運な名車・珍車

公開 : 2022.03.05 06:06

いすゞ・アクシオム(2001年)

2000年代のいすゞのフラッグシップとして、新しい道を切り開いたのがこのアクシオム(Axiom)。SUVらしいルックスと性能を持ちながら、高級感のあるパッケージで、快適性にも妥協しない、そんなユーザーのためにつくられた。

ピックアップトラックのロデオをベースにしているが、見た目はまったく違う。また、このクルマの名前を募集し、優勝者には1台プレゼントするという大々的な企画も行われた。いすゞに寄せられた応募は4万7000点にも上る。

いすゞ・アクシオム(2001年)
いすゞ・アクシオム(2001年)

しかし、この宣伝効果も長くは続かず、ライバルの影に隠れてしまったこともあり、経営陣が期待したほどの成功は収められなかった。北米におけるいすゞの衰退は、すでに始まっていたのだ。アクシオムは2001年から2004年まで、インディアナ州ラファイエットにあるスバルとの合弁工場で約2万5000台が生産された。生産台数の大半は米国で販売され、日本には正規輸入されていない。

サンタナPS10アニバル(2002年)

スペインに本社を置くサンタナ・モーターは、数十年にわたりランドローバーのシリーズモデルをライセンス生産している。1983年の提携解消後も2500と名付けられたシリーズIIIの生産は続けられたが、より近代的なオフロード車(ディフェンダーなど)は1994年にそのキャリアに終止符を打った。

しかし、サンタナは基本に忠実な4WDの需要がまだあると信じていた。2002年に発表され、翌年発売されたPS10アニバルは、プロユーザーのニッチなニーズに応えるために開発されたものだ。

サンタナPS10アニバル(2002年)
サンタナPS10アニバル(2002年)

2500の後を継いだもので最先端ではなく、エアバッグやアンチロックブレーキもなかったが、パワーステアリングやエアコンなどの快適装備が用意(有料オプション)された。また、ディフェンダーと区別するためにフロントエンドのデザインを変更し、イヴェコ社製のターボディーゼルエンジンを搭載している。

2011年にサンタナが破産するまで、PS10アニバルの民間仕様車と軍用仕様車は欧州全土で販売された。2010年代には生産再開を計画していたが、実現には至らなかった。

三菱エンデバー(2003年)

イリノイ州ノーマルにある三菱工場(現在はEVメーカー、リビアンの拠点)で生産されたエンデバー(Endeavor)は、あまり冴えないルックスから、年間8万台という販売計画はちょっと非現実的に思える。悪いクルマではなかったが、特別に良いクルマでもなかった。

三菱初の米国専用車だが、フォードエクスプローラーなど手ごわいライバルが多く、初年度の販売台数は3万2000台にとどまる。その後、2011年に販売中止となるまでこの数字は年々減少していくった。

三菱エンデバー(2003年)
三菱エンデバー(2003年)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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