転売やめて! トヨタ・ランドクルーザー 現金一括購入も「ディーラー所有」 背景は
公開 : 2022.03.03 17:55 更新 : 2022.03.25 18:48
実際に出品→落札されたものも
誓約書を書かせたり、所有権をディーラーにしたりという措置をとっても実際にこれまで数台のランクル300がオークションに出品されている。
ほとんどは直前でキャンセルされているとのことだが、2月上旬に開催された業者オークションでは2022年1月登録のランドクルーザー300が、スタート価格1200万円→応札価格2000万円で落札されている。
これまで転売されてしまったランクルの所有権についてはどうなっていたのだろうか? トヨタ自動車に聞いた。
「ほとんどが現金一括購入で、所有権はオーナーについておりました」
「また、割賦の場合でも所有権解除をすれば転売できてしまいます。(残債を全額支払ってローンの支払いを終了すれば所有権は信販会社などからディーラーに移る、という意味)」との回答だった。
つまりオーナーを所有者名義にしていたランクルが転売されていることになる。
なお、これまでもランクル300に限らず、転売防止のための誓約書提出を必須としていたいていたクルマは他にもあった。
トヨタ車がやはり多く、ランドクルーザー・プラド、アルファード、ヴェルファイアなど。他社でも限定車などは販売の際、最低でも1年は転売しないことなどをルールとしてきた。
しかし、現金一括購入であっても所有者をディーラーとする措置はかなりレアケースと考えられる。
誓約を破って転売した場合のペナルティは、今後一切、トヨタディーラーからクルマが買えなくなるという厳しい内容となっている。
そのことはもちろん誓約書にも記されているが、実際に転売している人は最初から高値で転売することを目的しているのだろう。
具体的な「販売ルール」は?
所有者をディーラーにするか顧客にするか、あくまでも「選択制」とのことだが、中には「ランドクルーザー300の販売ルール」として、登録日から少なくとも1年以上は所有者名義を販社名にすることを「前提」としている販社もある。
実際、筆者の知人(自動車販売業などではない一般オーナー)も現金で購入してこの内容の誓約書にサインをしている。
知人の話によると「形としては『選択制』としているものの、実際にはほぼ強制。『サインしないと販売できません』といった雰囲気だった」そうである。
一方で別の販社の店舗でランクル300を買った知人は「転売しない」という誓約書にはサインをしたが、ディーラーに所有権をつける話は全く出なかったとのこと。
全国の販社それぞれに事情は異なるようだ。
ちなみにメーカーが転売を阻止したい主な理由は以下となる。
国内向け
アルヴェルなどのミニバンにおいては暴力団、いわゆる反社勢力への転売にされることを危惧している。
反社は新車も中古車も暴対法で販売が禁止されておりディーラーでの購入はもちろん不可なので、転売された先のブローカーなどから購入することになる。
海外向け
ランドクルーザーやプラド、ハイラックスなどは紛争地域やテロ活動に使われることを危惧している。
また、海外に並行輸出されてそこで何かしらのトラブルが発生した場合、製造物責任を問われて巨額な賠償金を請求される恐れがある。
自動車ディーラー側の事情もある
現金で買っても一定期間、ディーラーが所有……。
やや強硬な措置のようにも思えるがここまでするにはディーラー側の事情もある。
「転売されたランクルがオークションに出品された場合、そのランクルを売ったディーラーが全額負担で出品車を買い戻さなくてはならない」などのルールが敷かれているという情報も入ってきている。
これらが真実なら、やや強硬な転売防止策も、ディーラーにとっては背に腹は代えられない苦肉の策と言えるだろう。