季節不問の高水準な走り フォルクスワーゲンTロック Rへ試乗 内外の質感を向上

公開 : 2022.03.20 08:25

VWの人気クロスオーバー、Tロックがマイナーチェンジ。高性能仕様のRを、英国編集部が評価しました。

モダンさとプレミアムさを高めた小変更

フォルクスワーゲンTロックがマイナーチェンジを受けた。高性能な「R」も、同様にスタイリングとインテリアがアップデートされている。パワートレインに変更はないようだが、従来に増して、モダンさとプレミアムさを高めている。

中型のクロスオーバーとして、Tロック Rは速い。その気になれば、レース・モードを選び、エグゾーストからアフターファイヤーを放つことも可能。現代のハイパフォーマンス・モデルに乗っているという体験に浸れる。

フォルクスワーゲンTロック R(欧州仕様)
フォルクスワーゲンTロック R(欧州仕様)

ターボチャージャーで過給される2.0L 4気筒ガソリンエンジンは、低回転域では若干ターボラグが感取される。それでも、頼もしいほどにたくましい。スムーズで吹け上がりも鋭く、中回転域まで回せば非常にレスポンシブだ。

7速デュアルクラッチAT(DSG)も、従来以上に滑らかさと迅速さを磨き込んできた。Dに入れたままでも素早くシフトアップをこなし、マニュアル・モードでR専用ステアリングホイールに取り付けられたパドルを弾けば、より積極的になる。

300psの最高出力は、フォルクスワーゲン独自の第5世代4モーション・システムを介して、前後のタイヤへ伝達される。ゴルフ Rが採用するシステムほど高機能ではないが、前後間でパワー分配の調整は可能。トラクションも素晴らしい。

季節を問わない高水準な走りを実現

ドライだけでなくウェットでも、自信を持ってフルパワーを解き放てる。ただし、マイナーチェンジ前からメカニカルな進化は基本的には得ておらず、0-100km/h加速4.9秒と、249km/hでリミッターが掛かる最高速度に変わりはない。

とはいえ、Tロック Rの動的能力は非常に高い。季節を問わない、高水準な走りを実現したクロスオーバーだ。

フォルクスワーゲンTロック R(欧州仕様)
フォルクスワーゲンTロック R(欧州仕様)

ドライブモードをエコやコンフォート、ノーマルに戻せば、エンジンは粘り強くボディを推し進める。速度域の低い市街地でも、高めのギアを使った高速道路でも、穏やかで洗練された走りに浸っていられる。

カーブが連続するような区間も、Tロック Rは得意分野。速度に応じてアシスト量が変化するプログレッシブ・ステアリンを備えるが、目立って軽く、コミュニケーション力は乏しい。それでも、高めのレシオで意欲的にコーナーへ侵入していける。

オールラウンドなクロスオーバーとして、俊敏性には優れる。充足感は、及ばないかもしれないが。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。車高はノーマルのTロックから20mm落とされ、引き締められている。

レース・モードを選ぶと、明確に姿勢制御が向上する。そのかわり硬さも増し、路面状態によっては上下方向の揺れや衝撃が目立ってしまうけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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