四角い見た目が個性的 フォード・マーベリックへ試乗 新・小型ピックアップ登場

公開 : 2022.03.15 08:25

新規ユーザーの獲得を狙う、スタイリッシュな新型ピックアップが登場。北米で英国編集部が評価しました。

ブロンコ・スポーツと同じプラットフォーム

アメリカのクルマと聞いて、ピックアップ・トラックをイメージする読者も多いだろう。純EVの開発に巨額を投じている北米のビッグ3にとって、フルサイズ・ピックアップは収益性の高い稼ぎ頭。人気が衰えることはないようだ。

2019年には、フルサイズのF-150に加えて、ミドルサイズのレンジャーもアメリカとカナダ市場へ投入されている。さらに今回、SUVのブロンコ・スポーツと同じプラットフォームを展開し、コンパクトサイズに相当するマーベリックが発売された。

フォード・マーベリック 2.0 ラリアットAWD(北米仕様)
フォード・マーベリック 2.0 ラリアットAWD(北米仕様)

生産はメキシコで行われ、欧州市場への導入はないという。フォード・レンジャーが、そのユーザー層をカバーしているためだ。

4ドアのクルーキャブを備えるマーベリックは、コンパクト・ピックアップというカテゴリーの活性化につながるはず。フォードによれば、「ピックアップが欲しいと考えたことがない人」がターゲットだと説明する。

だが、都市部に住む従来からのトラック・ファンにも好まれるだろう。より小さく、燃費の良いモデルを望む声は少なくない。

エンジンは、2.5Lのハイブリッドがエントリーユニットで、こちらは前輪駆動のみ。北米では最も燃費の良いピックアップ・トラックになる。

機能的でありながら美しいスタイリング

今回試乗したのは、2.0Lエコブースト・エンジンを搭載したトップグレード。トリムグレードはラリアットと、威勢の良い名前が付いている。FX4と呼ばれる四輪駆動で、牽引重量は1816kgまで対応する。

マーベリックの角張ったスタイリングは、曲線的なレンジャーより、勇ましいF-150に近い。それでいて巧みにエッジが丸められており、個性的で、機能的でもありながら美しい。バランスは良いと思う。

フォード・マーベリック 2.0 ラリアットAWD(北米仕様)
フォード・マーベリック 2.0 ラリアットAWD(北米仕様)

四角いデザインテーマはインテリアにも展開されている。特に上下で層に分かれたダッシュボードが新鮮。インフォテインメント用のタッチモニターも、モダンな雰囲気を作り出している。

ドアポケットには、大きなタブレットをしまえるポケットが用意され、1Lのペットボトルも置ける。ドアパネルの、切断されたような処理も目新しい。

フォードはセンターコンソール後方、アクセサリーを取り付けられる領域のCADデータを公開した。リアシートの下側に用意された、収納エリアのデータも。ユーザーが、3Dプリンターで望みのパーツを自作できるというアイデアだ。

荷台の長さは1381mmあるが、2x4材や2x6材をカットし側面のスロットへ差し込むことで、広い荷台を分割することが可能。ボルト用の穴が空いており、工具箱などを直接固定することもできる。DIY好きにはたまらない。

ブロンコ・スポーツ的に、スポットライトやアクセサリーなど、オプションも多彩。DC 12VとAC 110Vの電源ソケットを、車内や荷台に追加することもできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グラハム・ヒープス

    Graham Heeps

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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