マツダ・ロードスター ND発売から約7年 ここにきて販売台数が増えてきたワケ
公開 : 2022.03.07 05:45
ロードスターは中高年のクルマ?
マツダの資料には、ロードスター販売好調とコロナ禍との関係性について「移動手段に対する意識/ライフスタイル/趣味へのお金の使い方の変化が後押し」という視点で捉えている。
そのうえで、ひと目で分かる市場変化が、購入者層の若返りだ。
商品改良を含む2021年9~12月の予約受注状況で見ると、30代未満の構成比が15%から30%へと倍増している。
2020年販売実績で年齢別データでは、最も多いのが50代(35%)で、以下40代(27%)、60代以上(23%)となり、40代以上でなんと85%を占めており、ロードスターは中高年のクルマというイメージが強い。
30代は6%で、20代以下は9%に過ぎないからだ。
こうした状況に変化が見えてきたのだ。なぜだろうか?
2021年12月のオンライン意見交換後、筆者は「これがラストチャンスかもしれない……、という意識を持つ人が若い層も含めて増えているのではないか」という個人的な見解を持ち、各方面で記事化した。
社会背景として、世の中の急激な電動化が挙げられる。
マツダの将来の技術構想に関係して、「2030年以降の電動化ロードマップに、ロードスターも組み込まれている」とマツダ幹部が明言したことにより、純ガソリン車としてのロードスターはNDがファイナルモデルとなることが確定しているのだ。
純ガソリンはNDが最後?
話を、2022年2月のメディア向け試乗会に戻す。
ND開発総指揮者であるマツダ商品本部主査の齋藤茂雄氏は、電動化となる次期ロードスターについて「わたしはあくまでも現行モデルの主査であり、NDをより良いクルマにすることを最優先しています」と言い切っている。
また、国内営業本部関係者は、ロードスターの販売好調と購入者の若返りの理由については、「(純ガソリン車として)これが最後かもしれない……という想いを持つ人が少なくないようです」と、2021年12月に筆者が想定した市場の動きを裏付ける発言をしている。
最後に、つい先日、マツダ以外のメディア向け試乗会で箱根周辺の有料道路を走った際、高台の駐車場で、若いカップルが乗る北関東地域ナンバーのブリティッシュグリーンのNA(初代ロードスター)に出会った。
こちらのカメラマンらと一緒に声をかけてみると、オーナーは19歳の女性。
「免許をとって初めてのクルマ」だという。購入の決め手は「リトラ(リトラクタブルライト)が欲しかった」そうだ。
車内を見るとMT車。ロードスターの走りを存分に味わっているようだ。
ちなみに、2020年ND販売実績で、女性ユーザー比率は7%にとどまる。
NDのみならず、ロードスターのユーザー層は、まだまだ広がっていきそうだ。