ナシの生活は考えられない ランドローバー・ディフェンダー 90(1) 長期テスト 

公開 : 2022.03.19 09:45

いま最も注目度の高い英国製SUV、ディフェンダー。未踏の荒野から市街地までをカバーする実力を、長期テストで確かめます。

生産が追いつかないほどの人気

長期テストに、ランドローバーディフェンダー 90が加わった。英国編集部の1人、マット・プライヤーが自らのために仕上げたクルマだが、とてもセンス良くまとまっていると思う。

ショートボディにツートーンのルーフ、ホワイトのスチールホイールとオールテレーンタイヤ。ロンドン郊外に住む彼だけあって、オフロードな雰囲気が全面に表れている。アクティブ・デフ付きだ。

ランドローバー・ディフェンダー 90 3.0インジニウムD250 MHEV HSE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 3.0インジニウムD250 MHEV HSE(英国仕様)

もちろん、しっかり英国の大自然へも足を伸ばしたいと思う。グレートブリテン島の西、ウェールズ地方にも。

新型ディフェンダーの需要は世界的に高く、生産ラインは追いついていない。だが、ようやくマットのクルマがラインオフしたという連絡があり、長期テストへ借りることが決まった。

このディフェンダーには、クルマ好きなら少なからず関心を抱いていると思う。しかし、実際に納車された人はまだ限定的。英国では新車に近い中古車が、かなりのプレミア価格で売られている。その結果、オーダーリストは更に増えているらしい。

ショートボディの90でも、人気は高い。エンジンは3.0L 6気筒ディーゼルターボで、2.2tの車重でありながら、0-100km/h加速を8.0秒でこなせるパワフルさを備えている。

トリムグレードは上級のHSE。数点のオプションが追加され、最終的な金額は約6万5000ポンド(約1007万円)だという。

ファミリーカーに最適とはいえない

そのオプションは、電子制御デフやマッドフラップ、スカッフプレート、牽引フックなど、オフロード性能を高めるモノが中心。また、ツートーン塗装にも追加費用が必要だ。

類まれな能力と不足ない快適性を得るには、それなりの予算が必要らしい。3ドアのディフェンダーとして少々高過ぎるようにも思えるが、納車を待っている人は少なくない。

ランドローバー・ディフェンダー 90 3.0インジニウムD250 MHEV HSE(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー 90 3.0インジニウムD250 MHEV HSE(英国仕様)

ディフェンダー 90は、ファミリーカーに最適とはいえない。リアシート後方の荷室はフォルクスワーゲン・ゴルフ程度の397L。奥行きが浅く、テールゲートを開くと荷物が転げ落ちそうになる。

ランドローバーは、カントリー・パッケージを装備した場合、リアシートには人間ではなく荷物を乗せることが多いと考えているらしい。フロントシートの直後が、金属製のメッシュで仕切られるようになっていた。

筆者には子供がいるから、取り外すことにした。リアシートへの乗り降りも簡単ではなく、大きなドアは子供には閉めにくい。

車内空間自体は充分に広いものの、スペアタイヤを含めた全長が約4.5mという、短いボディにしては、という意味でもある。全幅は2mもあるから、駐車時には気を使う。全高も、入れる立体駐車場を選ぶ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジム・ホルダー

    Jim Holder

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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