アストン マーティン 高性能の円筒形バッテリー採用か 英ブリティッシュボルトと提携発表

公開 : 2022.03.08 18:25

アストン マーティンが英国のブリティッシュボルト社との提携を発表。同社初のEVにバッテリーを供給します。

英バッテリー新興企業、アストンに高性能電池供給

アストン マーティンは、2025年に発売する同社初のEV向けに「高性能」バッテリーを開発するため、英国のブリティッシュボルト社と提携することを発表した。

ブリティッシュボルトはEV用バッテリーを手掛ける新興企業で、最近ロータスの新型EVスポーツカーにバッテリーを供給することが明らかになり、注目を集めた。

アストン マーティンの次期EVのレンダリング
アストン マーティンの次期EVのレンダリング    AUTOCAR

アストン マーティンは、「最も魅力的な超高級パフォーマンスEVの創造」を目標とし、「サーキットでの実用性、充電時間、航続距離の新基準」を目指すと述べている。

両社の共同研究開発チームは、専用モジュールやバッテリー管理システムを含むバッテリーバックの設計、開発、量産化を行う。また、ブリティッシュボルトがアストン マーティンのEV用に円筒形の高性能セルを開発し、その能力を最大限に引き出すことになるという。

英国のゲイドンを拠点とするアストン マーティンは、2024年にPHEVスーパーカーのヴァルハラ、2025年に同社初のEVを発売し、2026年までにすべての新型車に電動パワートレインを設定する予定だ。

現在展開する車種ではメルセデスのパワートレインなどを採用しているが、ブリティッシュボルトとの提携は、メルセデス・ベンツとの既存の契約を補完するものであるとしている。

アストン マーティンのトビアス・ムアースCEOは、次のようにコメントしている。

「この強力な提携は、アストン マーティンの109年にわたるエンジニアリングの熟練と、急成長中のテクノロジー企業の専門知識を融合させるものです。ブリティッシュボルトと協力することで、アストン マーティンのEVのベンチマークとなる新技術を生み出すことができると確信しています。この技術は、高性能で超高級、そして最高水準の持続可能性という当社の評判に見合うものです」

「株主であるメルセデス・ベンツAGとの緊密な戦略的関係を補完するこのパートナーシップは、アストン マーティンにさらなる技術とスキルを与え、電動化の選択肢を広げるでしょう」

ロータスに続く提携 野心的なシェア拡大計画

ブリティッシュボルトのオーラル・ナジャリ社長は、次のように述べている。

「この提携は、顧客と手を携えて持続可能なバッテリーセルを共同開発・製造することの価値を改めて明らかにするもので、自動車メーカーは優れた製品を提供できるようになります」

英国ブリンツに拠点を置くブリテッシュは、商用車メーカーやコングロマリットとの供給契約も明らかにしている。
英国ブリンツに拠点を置くブリテッシュは、商用車メーカーやコングロマリットとの供給契約も明らかにしている。

「ブリティッシュボルトの低炭素で持続可能なバッテリーセルを搭載したアストン マーティンのEVの誕生を心待ちにしています。このような提携は、エネルギー転換を成功させるための唯一の方法です」

ブリティッシュボルトとアストン マーティンの提携は、ロータスとの既存の提携と密接に関連していると、最高商務責任者のオリバー・ジョーンズは述べている。

「高性能な自動車用バッテリーの市場は、現在あまり充実していません。主要の大手バッテリーメーカーは現在、大量生産されている乗用車市場に注力していますが、わたし達は市場の両端にある分野、特に商用車や高性能車に供給していきます」

ジョーンズ氏によると、ブリティッシュボルトはアストン マーティンのバッテリーを、パワートレイン・パートナーであるメルセデス・ベンツの既存のバッテリー・サプライヤーとともに供給する予定だそうだ。アストン マーティンのEVパワートレイン全体の開発に参加し、バッテリー管理、制御、冷却など、最高の性能を発揮できるよう支援するという。

また、同社はエネルギーとパワーのトレードオフの必要性を減らし、同時に非常に高速な充電も可能にする「ユニーク」なバッテリーデザインを開発しているとジョーンズ氏は言う。

「高性能分野に集中することで、妥協のない環境で技術を押し進めることができ、当社のすべての製品に有益なトリクルダウンをもたらします」

ブリティッシュボルトは、高性能車と商用車の市場に特化することで「3~4年後」にバッテリー年間生産能力を30Gwまで拡大できると考えている。その頃には、一般の乗用車市場でも存在感を強める狙いだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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