マツダ初の600万円超え CX-60、いったい誰向けのクルマなのか? 高級化路線が加速中
公開 : 2022.03.09 17:47 更新 : 2022.03.10 15:35
CX-60=「上質な庶民派」
ではここで、マツダの商品戦略の全体像について改めて確認してみよう。
直近では、2021年6月に「サスティナブルZoom-Zoom宣言2030に基づき、2030年に向けた新たな技術・商品方針」を発表している。
その中で、現在のマツダ商品戦略の基点は、2007年に量産に向けた研究開発を本格化させた「スカイアクティブ・テクノロジー」にあることを明確に示した。
そうした技術を基に、2012年の「CX-5」が先陣を切ったマツダ第6世代商品群によって、マツダの商品イメージは大きく変わる。
第5世代までは「マツダ地獄」と称されたように、一部車種の除いてマツダ・ブランド全体の統一感が欠け、新車販売時点で数を売るため販売現場で大幅な値引きをし、それがリセールバリュー(下取り価格)の低下につながり、そして再び新車の値引きを起こすという悪循環があった。
こうした負のサイクルを第6世代は打ち切ることに成功したのだ。
そして、2019年の新型「マツダ3」からマツダ第7世代が始まる。
第7世代には、FF(前輪駆動車)の『スモール商品群』と第6世代改良モデルが混在する形で始まることになった。
価格帯は、100万円台から300万円台であり、生産量がまだ少ないMX-30 EVが451万円から。
マツダはデザインや走りの上質さを感じるものの、あくまでも庶民派ブランドという立ち位置を堅持してきた。
CX-60日本仕様、4月上旬公開
一方、第7世代の後半として、CX-60から始まるラージ商品群では、マツダ・ブランド全体としての底上げを狙っているといえる。
背景には、第6世代でマツダを愛顧してくれたユーザーが、さらに上級車を求める時の受け皿が必要という事情が色濃くある。
つまり、第6世代がマツダの事業全体はもとより、ブランドイメージについてもしっかり地盤固めをグローバルでおこなえているということだ。
その上で、CX-60については、商品改良を続けるCX-5との商品として差別化を明確することが重要だったといえる。
また、欧州を基点として急速に広がる電動化の流れの中で、次世代マツダのイメージリーダーとしての役割も、CX-60は担っている。
こうしたマツダ周辺の事情を鑑みると、CX-60のターゲットユーザーは、
・CX-5やCX-8からの乗換需要
・日系や欧州系プラミアムブランドからの新規需要
になるのは明らかだ。
CX-60はけっして、奇をてらったようなモデルではなく、マツダがこれまで着実に積み上げてきた研究開発と販売の実績を踏まえて登場したモデルだといえる。
欧州仕様は2022年夏に発売し、日本市場は2022年4月上旬にその姿が公開される。
プラグインハイブリッド以外のラインナップについても期待したいところだ。