最新で最後のエンジン・ロータス エミーラ・プロトタイプへ試乗 3.5L V6は継続 前編

公開 : 2022.03.12 08:25

ロータスとしても、英国車としても、重要なクーペが遂に誕生します。英国編集部が試作車への試乗を許されました。 

既存モデルをすべて置き換えて登場

ロータス最後となる内燃エンジン・モデルも、大きな成功を掴むだろう。エリーゼとエキシージエヴォーラという、既存モデルをすべて置き換えて登場するのが、最新のエミーラだ。

これまでのロータスも素晴らしかった。だがエミーラには、それ以上が求められている。

ロータス・エミーラ・プロトタイプ
ロータス・エミーラ・プロトタイプ

英国東部、へセルの本社には、多額の費用を投じ最新鋭の生産ラインが用意された。複数のワークショップ間を、組み立て途中のエミーラを載せた台車が自律的に走るという。年間で、最大4500台の生産が可能になる。

エリーゼS2と並行してオペル・スピードスターを生産していた、20年ほど前のロータスでは、考えられない規模の生産能力といえる。間もなく到来する純EV時代に備えるべく、今後の開発資金を獲得するうえでも、新モデルの存在は極めて大きい。

難しいことは置いておいて、エミーラのステアリングホイールを握った筆者は、これまでのロータスに通じる馴染み深いものを感じた。この第一印象に、喜ぶ読者は多いはず。

1960年代にへセルへ拠点を移して以来、ロータスはジャーナリストを招待し、自社のテストコースで試乗会を開いてきた。今回、いつもの場所で試乗させていただいたエミーラは、試作車。完成した状態ではない。

ロータスのディレクター、ギャヴァン・カーショー氏も、強く念を押す。社内でVP2レベルと呼ばれるプロトタイプで、運転支援システムの開発に用いられている車両だという。

トヨタの3.5L V型6気筒スーチャーは継続

それでも、スタイリングやメカニズムは、2022年後半から納車が始まる量産車に近い。インテリアも、一部の表面素材や仕上げは確定していないようだが、造形的なデザインは終わっている様子。

シャシー・チューニングも、ほぼ完了した状態だろう。ただし、ドライブモードの「トラック」は無効で、走行中に警告灯が点灯するかも、と事前にカーショーは話していた。

ロータス・エミーラ・プロトタイプ
ロータス・エミーラ・プロトタイプ

このエミーラが搭載するエンジンは、エヴォーラからのキャリーオーバー。トヨタ由来の3.5L V型6気筒エンジンにスーパーチャージャーがドッキングされたもので、ここでは405psを発揮する。

トランスミッションは6速マニュアル。機械式のリミテッドスリップ・デフが組まれ、後輪を駆動する。

タイヤは、公道向けのグッドイヤー・イーグルF1を履き、ソフトなツーリング・サスペンションがボディを支える。オプションで、サーキット向きのミシュランのカップ2とスポーツ・サスペンションも選べるそうだ。

試乗日の天気は雨がちで、風も強かった。穏やかな足まわりは、適正だったといえる。

新しいエミーラは、これまでと明確に異なるロータスでもある。前CEOのフィル・ポパム氏は、次期モデルはポルシェ718ケイマンに対抗できる実用性と快適性、ドライビングマナーを備えたスポーツカーになると話していた。

記事に関わった人々

  • マイク・ダフ

    Mike Duff

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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