斬新スタイルのDセグ・モデル シトロエンC5 Xへ試乗 快適性重視の個性 前編

公開 : 2022.03.21 08:25

シトロエンから、まったく新しいDセグメントの提案。快適性を重視した個性を、英国編集部は気に入ったようです。

縮小傾向のDセグメントへ新提案

シトロエンのニューモデルで、まず考えさせられたことが、どのカテゴリーに属するのかということ。ステーションワゴンとは違うし、ハッチバックやファミリーサルーンでもない。クロスオーバーが一番近いかもしれないが、ピッタリとはいえない。

シトロエンらしい悩みかもしれない。小型車を中心に多彩なモデルを展開してきた同社は、傑作の大型サルーンも生み出してきた。だが、どれもが一風変わっていた。多くは優れたスタイリングを備えていたが、広範囲に支持を得てきたわけではない。

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)
シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)

近年はプレミアムブランド以外の大型サルーン市場、特にDセグメントは、縮小傾向にある。フォルクスワーゲンパサートオペル・インシグニア、フォード・モンデオといったモデルが、そこに該当している。

シトロエンの新CEO、ヴァンサン・コベ氏も、「多くの目的に対応できるセグメントでありながら、退屈でもあり、着実に縮小傾向にある」。と認めている。それでも、新しいDセグメント・モデルを発表した。これまでとは違う意欲を持って。

それこそ、C5 X。ちなみにXの読み方は、クロスではなく、エックスだ。

C5 Xは、全長4805mm、全幅1865mm、全高1485mmという充分な大きさを持つ。ステーションワゴン的だが、4ドアのファストバックにも見える。全高はクロスオーバーとしては低めながら、樹脂製のフェンダーアーチなどが与えられている。

ガソリンターボの他、PHEVも選択可能

プラットフォームは、シトロエンだけでなくプジョーなども用いている、汎用性の高いもの。その結果として、通常のガソリンエンジンとプラグイン・ハイブリッド(PHEV)が選べる。

モノコックはスチール製で、前輪駆動のみ。四輪駆動も可能だが、提供予定はないという。ちなみにフロントガラスは、プジョー308と同じものだそうだ。

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)
シトロエンC5 X ピュアテック130 シャイン(欧州仕様)

英国に導入されるC5 Xは、130psを発揮する1.2L 3気筒ガソリンターボのピュアテック130と、180psの1.6L 4気筒ガソリンターボ、システム総合で228psを発揮する、同じ1.6Lと駆動用モーターによるPHEVの3種類。売れ筋は1.2Lになると予想されている。

英国価格はピュアテック130で2万6490ポンド(約410万円)から。PHEVは、3万5180ポンド(約545万円)からに設定された。駆動用バッテリーのコストは、まだ高いのだろう。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式。シトロエンがプログレッシブ・ハイドローリック・クッションと呼ぶ、電子制御ダンパーが標準装備となる。ハイドロの名が帰ってきた。

近年、自動車メーカーの多くは、スポーティさや動的能力を高める傾向がある。そんな走りを求めていない、Dセグメントのファミリーカーに対しても。

反面、シトロエンが追い求めたのは別のベクトル。「快適性に長けたブランドとして記憶して欲しいと考えています」。とヴァンサン・コベ氏はC5 Xに対して話している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

斬新スタイルのDセグ・モデル シトロエンC5 Xへ試乗 快適性重視の個性の前後関係

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