コルベット用V8から678ps キャデラックCT5-V ブラックウィングへ試乗 M5キラー
公開 : 2022.03.24 08:25
ドライビングに惹き込まれるサルーン
全長4923mm、全幅1882mm、全高1453mmのブラックウィングの車重は、カーボンセラミック・ブレーキを付け、サンルーフを省いた状態で1870kg。M5 CSとほぼ同じ重さだ。スーパーサルーンとして、車体は軽い方が良い。
ステアリングホイールを握り走らせてみても、決して重くは感じられなかった。俊敏な身のこなしを知ると、そのボディサイズが信じられないほどだ。最高速度は322km/h以上が主張される。
足まわりは硬く、アメリカの山岳部にあるような路面が荒れたワインディングでは時折不安定なるものの、クルマから得られる自信は絶大だ。ブレーキは強力で、アクセルレスポンスも鋭敏。アンダーステアも殆ど顔を見せない。
19インチのミシュランは驚異的なグリップ力を生み出す。マグネティックライドの減衰力特性も素晴らしい。ドライブモードをスポーツやトラック(サーキット)に設定すれば、姿勢制御も秀抜になる。
一方で、最もソフトなツアー・モードを選べば、流れるように路面を進む。往年のビッグ・キャデラックのように。
直線番長のマッスルカーとは違う。凄まじいV8エンジンのノイズも楽しめるが、ドライビングに惹き込まれる、とても楽しいハイパフォーマンス・サルーンだと感じた。
節目に最善を尽くしたキャデラック
BMW M5 CSより良いかと聞かれると、即答は難しい。しかし、北米価格は8万3995ドル(約965万円)から。カーボンセラミック・ブレーキを付けても、北米ではドイツ製ライバルの半額で買えてしまう。
燃費はあまりご紹介したくないが、今回の試乗時の数字は5.3km/L。満タンで走れる距離は、300kmを少し超える程度になる。昨今の情勢的に、あまり褒められるものではないだろう。
インテリアの仕立ては、充分に上質。デザインに無駄はなく、直感的に扱いやすい。質感ではアウディに届かないにしろ、購買意欲を削ぐほど悪くはない。
キャデラック最後の内燃エンジン・モデルの1台となる、CT5-V ブラックウィング。アメリカのラグジュアリー・ブランドは、その節目に最善を尽くしたといって良いだろう。
キャデラックCT5-V ブラックウィング(北米仕様)のスペック
北米価格:8万3995ドル(約965万円)/10万8115ドル(約1243万円/試乗車)
全長:4923mm
全幅:1882mm
全高:1453mm
最高速度:322km/h以上
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1870kg
パワートレイン:V型8気筒6162ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:678ps/6500rpm
最大トルク:90.9kg-m/3600rpm
ギアボックス:6速マニュアル